さて、帰るか

 熱でボケーッとしながらNHKの料理番組みてえの見てたら、その道で有名みたいなババアが手間の掛かるネギのスープの作り方とか紹介してて、そんで人間、季節を迎え撃つように準備するのが必要だとかおっしゃる。冬を前には体の芯から温まる食材を、暑い夏の前にはバテないように精のつく食材を……と。科学的根拠は知らんが(体の芯ってなに? ショウガはその芯を温めるの? 何℃?……という疑問の持ち方が科学的かどうかすらおれにはわからない)、まあ正論ちゃあ正論のようにも思えて。でも、昔ながらの知恵を活かして旬の食材でスローフードってそんなわけにはいかねえよ。それが貧乏な独り身ってもんよ。
 とかいいつつ、おれの中の風邪対策として「緑茶をたくさん飲む」というのがある。これで元気になる。何が根拠かといえば、横山光輝三国志』だ。若き日の劉備は母のために緑茶を云々、あれである。なんか昔はめずらしいカフェインで元気になったような気になっただけじゃねえのかというような気もするが(それは現代でも栄養ドリンクとかいうもので再現されているが)、まあなんか緑茶は効くんだ、それで劉備は以下略、の精神である。
 精神といえば、一週間以上風邪ひいていると、だんだん風邪であること、風邪の行動にも飽きてくるというか、風邪でないふりをしてみると風邪でなくなるのではないかという気もして、昨夜など風邪じゃないふりをしてお好み焼きをいつも通りに作って食ってみたりしたが、まあ好転するわけでもなく、熱も37.2℃前後をうろついていて、カーッと出てスーッと下がるふうでもなくただぐったりしてきている。そういえば、おれの全兄弟に不明熱でいろいろの大病院をあたった挙げ句、結局原因不明のままの人間がいたな。おれにその要素がないともいえない。こまったものだ。
 しかしまあ、こまっていると、雨の中でも路上で寝ているおっさん(さっき見た)になるのは一直線であって、まったくかったるい。だいたい、この富士薬品の「新ジキナ顆粒」だが、「じきに治るでしょう」くらいでやる気がないんじゃないかとか思えてくる。やる気が大嫌いなおれが言うのもなんだが、まあどうでもいいか。あと、熱に対して抗生剤、喉に対して三種類の薬を処方してまったく効かないあの近所の医者、次々と来る年寄りに受付が次々にインフルエンザ注射をすすめるあの医者にはもう行かない。おしまい。