病状メモ20130307


 この写真とは関係ないけれど、すごく小さな花を撮っといてと命じられたんだ。ほいきたって話で、α65にMINOLTAの100mm単焦点つけてマクロ撮影を……をしようとしたら、すごくプルプルするんだよ。なにがって、おれの手がだ。いや、びっくりした。こんなことはなかった。そりゃ、この細かいものを、手持ちで、マニュアルでって、アマチュアにはちょっとむつかしいのは確かだけど、下手な鉄砲売ってりゃ当たるくらいのもんではある。でも、すごくプルプルするんだよ。これじゃあ手ぶれ補正も役に立たない。仕方ないので、連射に頼った。でも、プルプルしたことへの違和感は残った。ぐっと握りこぶしをつくってみても、ふにゃっと力が何処かへ抜けていくような感じがした。

 まあ、仕事でキーボード叩いたり、マウスを動かしたりするのにほとんど影響はないけれど、これってひょっとしてジプレキサ(オランザピン)の副作用だろうか。ドーパミン拮抗作用のある薬剤によるパーキンソニズムだろうか。おれの愛したレスリントラゾドン)もリストにある。ひょっとすると、ジプレキサ服用初日にふらふらのぼけーのぽかーんになっていたのは、体内にレスリンの残滓があって、前妻と後妻の悪い出会いがあったのかもしれない。それ以後、目覚めた時の快眠さではやはりレスリンの方がいいような気はするが、あそこまではひどくならなかった。
 しかしまあ、パーキンソン。ひょっとすると、病名らしい病名として、物心ついて初めて覚えたものかもしれない。物心ついたときには、父方の祖父がパーキンソン病を発症していたからだ。杖をついてどうにか自分でゆっくり、ゆっくり、小刻みに歩けるくらいの状態だった。近年になって母方の祖母もパーキンソン病その他を発症して死んだ。パーキンソン病がどれだけ遺伝に因るものか知らないが、両祖父母にまったく発症が見られなかった人よりも高くなるような気はしている。おれがもしもパーキンソン病の発症にとって一番高い要素とかんがえられる高齢まで生きて、パーキンソン病になったとしても、正直おどろきもしないだろう。

 同じ事は、糖尿病にも言える。父も、母も2型糖尿病だ。父はインシュリン注射まで行っている。さらに、先に述べた母の母も晩年になって発症した。生活習慣病とはいえ、これまたやはり遺伝的な要素も関わらないわけでもないのだから、おれも覚悟せねばならん病気ではある。おれは睡眠時無呼吸症候群だが、はじめあの強烈な眠気は、昼食におきる急激な高血糖、なにか糖尿病まわりの話じゃないかと思って、血液検査に行ったりしたものだった。結果違ったわけだが……。

 で、ジプレキサは糖尿病患者に対しては禁忌薬ときたもんだ。
 これはけっこうなプレッシャーといえる。しかも、もとより発症しやすいんじゃないかという糖尿病に向かって進むような副作用がある。太る、らしい。それも、血糖がらみと脂質代謝異常(中性脂肪の上昇)とかいうのの二本立てだ。太るのは少し困る。下手にアゴ周りなんかに肉がついたら、睡眠時無呼吸症候群がスリープスプリントで済まなくなる(いっとくけどおれのは「肥満体でなく下顎の小ささに由来する原因が主な対象」by Wikipediaだかんね。太ってねえから)。おれにCPAPの余裕はない。それで、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病も無縁じゃなくて……。
 それでよ、これがおれが「じゃあ、食べ物の制限をして、ジョギングして、ダイエットだ!」ってなると、ダイエット大成功と見せかけて(見せかけじゃなくて体重はすげえ減ったんだけど)強迫性障害&摂食障害で精神科の振り出しに戻る、だぜ。適度な食事、適度な運動ってなんなんだ……? おれはやりすぎてしまうか、まったくやらないかの両極端だ。双極性障害ってそういうことか? 違うか? 少し合ってるか?
 ジプレキサ、どうするか。幸いにも(?)おれは良性の期外収縮でアロチノロール塩酸塩を処方されている。こいつは振戦(ふるえ)にも効く薬だ。おれは車の運転もしなければ、精密な作業を仕事としているわけじゃない。だから、もしもごくごく軽度のパーキンソニズムが出ていたとしても構わないし、ひょっとするとこれのお陰でその辺で収まっているのかもしれない。
 そこまでしてジプレキサいっとく必要あんの? ま、そう思わなくもない。海の向こうじゃ抗うつ効果はプロザック先生とドッキングすることで発輝しているという話じゃないか。あ、プロザック先生なら(以下略)。というか、身体が動かなくなるほどのひどいうつ状態というのは、医者に通い始めてから起こらなかったのだし……。
 それでもおれは、感情の波をできるだけフラットにしたいんだ。極端な憤激、瞋恚、こいつをどうにかしたい。盤珪禅師が「じゃあその短気を今やってみなされ」とか言ったら、「ふざけんなくそ坊主が!」ってなりかねない。なりかねない、というだけで、なる、わけじゃない。かといって、ならないと断言もできない。ただ、感情を爆発させてしまうのも、少なくとも社内でのことだ。それは医者にも言われた。
 「会社の外の人に対しては自制できてるんでしょ? それがコントロールできているうちは必要ないかもしれない。薬を切り替える必要があるか、ご本人の意思を尊重しましょう」。
 少し迷ったが、それでもおれは双極性障害の治療という方に賭けてみた。予防の意味もあるし、社内での爆発、女に対して露骨に不機嫌になること、それらもすべてマイナスの感情になっておれを蝕む、暗いところへ引きずり込もうとする。暗いところにはさらなる憎悪と暴力が待っているかもしれない……。
 けど、ジプレキサがおれにあたえるプレッシャーというのは副作用の副作用というか、その面で精神を荒らすところがある。さらに言うと、単純に薬価が高いというのも面白くはない。どうしたものだろうか。とりあえず、精神と体重の変化などを見守りながらひと月飲んでみようか。
 というか、ここのところ少しくらいは年度末らしい忙しさがあって(もちろん不景気だから何年か前に比べりゃ大したもんじゃないんだが……)、それどころじゃない、というところもある。おれは動悸持ちだけど、ジョギングもできるしたぶん今だって自転車で100kmくらいならどうにかなるだろう。だいたい、身体を動かしている間はドキドキしているのが当たり前だから、気になりゃしないのだ。だから、ある程度のパニック時期こそ平安であるという、妙な逆転現象の中にある、という気もしている。……というのが躁転みたいなものかもしれないが、たとえば働き者がすごく働いてべつに人に迷惑かけなきゃ病気じゃあないよな、とかいうやつか。まあわからん。
 いずれにせよ、仕事はしなきゃいけないし、そうでなくては飯も食えないし薬も買えない。カフェイン錠剤はさすがに自制して、鰯の頭程度の効果があるかどうかわからないが、自らへのプラセボとしてフェニルアラニンチロシン食って目を覚まそう。寝るときは行儀のいいマイスリーに頼ろう。いずれは鰯の頭も買えなくなるだろうし、贅沢な悩みだ。しかし、今は、こんなところだ。はやく、全人類が生まれた瞬間からDBS装置で感情を制御されるような理想的な未来が来ればいいのにな。まだまだ薬も大雑把でいい加減だ。たのむからなんとかしてくれないか。まったく。
 おやすみ。

>゜))彡>゜))彡>゜))彡

……こういうのを本当に書く日がくるのかどうか、死ぬのが先か。だれか賭けないか?