rockin'on買って読んだこんな感じだったかな

rockin\\\'on (ロッキング・オン) 2013年 05月号 [雑誌] suedeのインタビューが載るというので、『rockin'on』を買った。10年かそれ以上ぶりに買った。表紙のさわりごこちが変わっていた。中身と言えば、こんな感じだったかな? って感じだった。
 おれがはじめて『rockin'on』を買ったときの表紙はだれだったろう? suedeだったかもしれないし、違うかもしれない。ただ、今月号のこんな感じで、suedeの名前は入っていたはずだ。そうじゃなかったら、おれは手に取ったりしなかったろう。中学1年生のころの話だ。
 ちなみに、おれがはじめて買った週刊少年ジャンプの表紙は『県立海高校野球部員山下たろーくん』で、おれがはじめて買った週刊Gallopの表紙はワンダーパヒュームの顔のアップだった。
 話を『rockin'on』に戻す(rockin'on? ロッキング・オン? ロキノン?……どう表記してもしっくりこない)。おれはまずお目当てのsuedeのインタビューを読む。そして……、なんとなくパラパラとめくってみて、ピンク・フロイドの昔話あり、期待のニュー・ウェーヴあり……、こんな感じだったかな。
 ああ、巻末の方の小さいアルバム・レビュー。これ読むの好きだったな。この世にはいろいろの音楽があり、小さい欄の中でレビュアーが一生懸命伝えようとしていてさ。おれはそれを読むのが好きだった。おれが想像もできないようなこの世にはあるかもしれない、そんな想像をすることが楽しかった。
 でも、紹介された音楽自体はおおよそ99%聴く機会はなかったろう。あるいは、たまたま耳にしても気づかないで通りすぎたかもしれない。だって、そのころインターネットなんてものはなかったんだぜ。せいぜい、フジテレビの深夜『BEAT UK』で目にすることがあるかどうか。
 そうだった。おれは『rockin'on』を買っては、suedeの情報は? beckの情報は? bjorkの情報は? といくつかの好きなアーチストの名を探して、それで、一行かそこらあったら喜び、あとは……やっぱり適当に特集やレビューを読んでいた。それでおしまいだった。大きなCDショップに通うこともなかったし(通ったところでバカスカ買えないし)、もっと進んで洋楽を流すラジオを探したりもしなかったっけ。
 でも、このごろはインターネットってものがあるんだぜ。紹介されている、おれの知らない新しいアーティストたち、おれが名前を知ってるくらいの、ベテランのアーティストたち。まずは公式サイトなり、youtubeなりで試聴できる。悪くない。
 が、不思議なことに、雑誌を膝に載せて、気になった名前を検索欄に打ち込む、って気にはならない。少なくとも、買ってから二日間、やろうとはしなかった。ひとつにはとりあえずsuedeの新譜聴き込むぞ、というのはあるが……、果たしてなにかそれはひどく効率的でなく、直感的でもなく、「なんか違うな」という気がしてしまうのだった。
 直感的、といえば、仕事中にラジオで流れた曲を即座に調べ、即座に買うということができてしまう、そういうことに慣れてしまったというのもあるかもしれない。そして、おれはもう若くないし、新しい音楽に飢えていないのかもしれない。ここで言う「新しい」は、おれにとって未知というだけで、べつに1969年の曲だっていいんだけれども。
 とりとめもない感じだけれども、久しぶりに『rockin'on』買って読んでそんなことを思った。ちなみに、おれはジャパンのつくほうはまったく知らない。目下のところ、おもに日本語ラップとアニソンとヴォーカロイドの曲と、それにくるりとその周辺を聴いている。たまに思い出したように、おれが『rockin'on』を買っていたときに流行っていたけど買えなかったアーティストの曲を買ったり、先に述べたラジオから特急で購入したりとか、そんなこともある。『rockin'on』5月号をきっかけに買うCDがあるかどうかはわからない。おれは、おれの知らない音楽への想像は持ち続けたい。けれど、直接、雑誌から音はしない。それは、今も昔もかわらない。

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