けれん味のないSF映画『オブリビオン』を観るのこと


 「映画? いま何やってんすか? 綾瀬はるか? あんまり好きじゃないんで、『八重の桜』とかもだいたい野郎のとこだけ見て、そりゃあいいんですが、『華麗なるギャツビー』? なんでこれ3Dなんすかね? 『オブリビオン』、これ『トロン:レガシー』の監督っすよ、いや、ちょっと地雷臭が……。それより、ららぽーと横浜で『攻殻機動隊』の、映画っていうわけじゃないんですけど、なんつーか、先行上映みたいな? え、ららぽーと? 鴨居っすよ、なに、鴨居ってあれ、新横浜の方、え、遠いから嫌だとおっしゃる。うーん、それじゃ、オブリビオーン?」

 ……というわけで、『オブリビオン』を選んだぜ。場所はブルク13、公開から日が経っていてわりと小さなスクリーン、観客も少なめでございました。

 で、結論からいうと実直ちゅうか、真面目というか、けれん味のない作品だったな、というところでございます。それで、正直いうと、目が少しトロンとしましたというか。いや、贅沢を言ってるのはわかります。この現代のSF映像作品として、十分なラインを行ってる。って、比べるほど10年前、20年前の映画をたくさん観てるわけじゃねえけど、ともかくいっさいのチャチさはないのです。でかすぎるiPad(iTable)のコマーシャル・フィルムみたいにスタイリッシュといっていいのです。主人公の乗りものに、無人機、住居、その他巨大物などなどと。
 だけど、けれん味がないってのは褒めてるのかそうでないのかというと微妙なところでありまして、「けれん」を取ってしまって「味のない」というと言い過ぎか、といったところでございます。「味」がなにかというと、これまた人それぞれ感じ入るところも違いましょうが、私にとってみれば、なにかこう、意表を突かれたかったというあたりでございます。なに、話の筋を開始35秒くらいですべて読めてしまったと豪語するわけじゃあございません。ただ、話が進み、提示され、納得し、納得し、で最後まで行ってしまったという印象が強いのであります。やや、そういえばクライマックスはやや意表を突かれましたが、なぜ入れたのかという粗のような気もいたします。
 話の筋ですか? それはもうなんといいますか、巨大ネウロイがスカブコーラルでオブリビオンなわけでございます。序盤から感じるなにかの不自然さからいろいろと想像しながらご覧になるのがよろしいかと存じます。ただ、モーガン・フリーマンなど予告で出ておりますが……まあ、言いますまい。
 かように、私はわりとなんといいますか、相当にハードルを下げて観た上でこんな印象なのではありますが、一応申し添えますと、SF好きの同行者はそうとうに気に入っておりまして、そうとうに評価が割れたのであります。女曰く「『宇宙のランデヴー』や『リングワールド』のようなところがよかった」と。前者については作品パンフレットの解説にも出てきておりますので、そういう見方もできるかといったところでありましょうか。私には、最近読んだ小説を少し思い浮かべたりはいたしましたが、やはり場が地球であると一応ははっきりしておりますものですから、そういう発想はなかった、といったところなのであります。
 あとはトム・クルーズトム・クルーズ無双というところでありますが……あまりネタバレはしたくありませんのでなんですが、主人公は修理屋、労働者なのだというわけです。ともすれば、ニコラス・ケイジとかが主役だとすればどうだとか、だったらいっそのこと、中古タイヤの溝掘り職人が主人公の『フロリクス8から来た友人』を映画化しよう! とか思ったのでありますが、話がそれましたのでこれにておしまい、はいさよなら。

追記1:アンドリュー・ワイエスの絵の意味するところは? わかんね。アメリカ人ならピンとくるのかしら。関係ないけど、もし日本が舞台だったらとかいう話になって「アメフトじゃなくて相撲になるのか」「千秋楽の結果言わないで下さいって管制官と」などと。

追記2:ドローンの効果音の一つが東京の地下鉄の駅の音にしか思えなかった。

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……こちらはけれん味だらけの映画ですけれども、自分の中でだいたい同じくらいの評価でしょうか。

……おっぱいが3つあれば「けれん味がある」というわけでもないのですが、おっぱい3つに当たるなにかがなかったと言いたいわけです。あと、おっぱい3つだからって面白い映画だったと言えるわけじゃねえし。

……本作はP.K.ディック的作品といっていいでしょう。しかし、そうなるとどうしても『インセプション』レベルあたりを求めてしまい、少しハードルが高くなるのですよね。