ポテトチップスの食い方もわからない

 このところ、コンビニやスーパーでポテトチップスの類が気になるようになった。音泉で配信がはじまった「夏子と千和のツンピリラヂヲ」の影響にほかならない。そうだ、具体的にいえば「わさビーフ」が気になるのだ。
 いよいよ手に取って買ってみるまでいくらかの時間はかかった。だが、ポテトチップス一袋買うのにそこまで悩むのもおかしいのではないかと、さんざん悩んだ末に手に取ったのだった。
 なぜ悩むか。おれには家で菓子を買って食う習慣がないからだ。独り暮らしをしていて、菓子を食うシチュエーションというのがよくわからない。家で摂取するカロリーは、朝のミューズリーか夜のお好み焼き、これだけである。ほかにどんなタイミングがあって、菓子やポテトチップスなど食べるのか。同様の理由で、種子目的以外に果実を買うこともほとんどない。実生のドラゴンフルーツはしぶとく生きている。
 で、どういうタイミングで食うか。古い言葉がひとつ頭をよぎった。「カウチポテト族」。カウチはないが、レンタルビデオを観ながらというのならばしっくりくる。そういうわけで、おれは、盲目の賞金稼ぎが石斧で復讐劇を繰りひろげる『ハチェット無頼』を観ながら食うことにした。
 再生ボタンを押す。500mlペットボトルの炭酸水を開ける。ポテトチップスの袋を開ける。食う、飲む、食う、飲む。あっという間に終わってしまう。おい、まだ始まったばかりで、主人公が目明きじゃねえか! 
 ……というわけで、カウチポテト計画はあっという間に水泡に帰した。そうだ、おれは食うのが早い。早飯。目の前に出されたものは無駄なくワンペースでけれん味なく食い切らねばならないという……習性がある。それをやってしまった。だいたい、再生ボタンと同時に開いたのも失策だったかもしれない。
 で、わさビーフはどうだった? 久々に買って食ったわさビーフどんな味だった? ……って、おれは間食をしないような生活も長く、だいたい昔わさビーフを食ったことがあるのかどうかも定かではない。比べようがない。が、扱いが雑だったせいかわりと一枚一枚が小さめで……それなりにつんと来て、まあそんなものだった。今度はペース配分を考えつつ挑戦してみようと思う。挑戦してみようとかいう類の話じゃないんだろうけれど。

追記______________________

カウチポテト族(カウチポテトぞく)は、ソファー(カウチ)に座り込んだ(寝そべった)まま動かず、主にテレビを見てだらだらと長時間を過ごす人を、「ソファーの上に転がっているジャガイモ」にたとえて揶揄または自嘲した、アメリカの俗語的表現である

 ……「ポテトチップスを食いながら」は日本生まれだったのか!