- 作者: フィリップ・K・ディック,佐藤龍雄
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 文庫
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……なのだけれど、4つか5つくらいのアイディアがボンボンぶっ込まれてて、それが惜しいことにハマってないっつーか、それぞれ別の短編ないし長編にしてたらなぁって話で。いや、実際、短編を長くして本作が出来てんだけど、ああ、もったいねえなあというか。ああ、大ファールのあとの三振か、みたいな。
それにしてもなんだろうね、このディックの描く大統領候補とその周辺、大企業の社長、それに大統領も入れてもいいか、誰にしたってそこらにいるやつみたいな印象。そこんところが味だろ、っていったらそういうところもあるけど、身の丈とか身の回りとかの射程って感じがあってさ。それで、一方で、SFの想像力はぶち抜けてるんだから、その落差がなんともいえねえなあ。あ、でも本作はなんかその、やっぱり三振だし。でも、しぶいタイムリーヒットも、ホームランもあるし、そこんところはやっぱりこう、なんだ、「本書だけで判断しないで」とか言いたい。
けどさ、おれはやっぱりいまいちだと思う『ザップ・ガン』からディック読み始めて立派かどうかわかんねえけどファンになったんだ。入り口が『空間亀裂』でもいいんじゃねえか。むしろ、なんかしみったれた感じが好きなやつ、大ファールの好きなやつ、そんなやつがいたら、いいんじゃねえかと、そう思う。
※ちなみに、本書とバロウズの『ソフトマシーン』と『ジャンキー』を併読していたので上に書いた感想が正しいかどうかよくわかんね。なんか変なのが入り込んでウパーって言ってるかもしれない。