- 作者: フィリップ・K.ディック,Philip K. Dick,佐藤龍雄
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2002/03
- メディア: 文庫
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「あたしを偶像化してるのはあなたなんだけど、そう認めることに抗ってるのよ」
スタントン、そしてリンカーンのシミュラクラ。模造人間の話。と、思って読んでいると、ストーリーは道路を外れて荒野に突っ込んで行って戻らない。大破綻。だが、それがいい。良すぎる。一般小説とSFの橋渡しをもくろんだ? 橋なんてなかったぜ。これは愛の話だ。失われた女、得られない女、ありえたかもしれない夢、そんなものについての話だった。ディックはリンカーンやこの主人公のように傷ついて、ひどい目にあって、とても打ちのめされて、悲しい幻想、『暗闇のスキャナー』のような。これはディックの中でも破綻して、なおかつホームランの作品だ。
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ところで、シミュラクラやプリス、他の作品と共通するような要素。台詞の中にこんなところ。「たくさんの人が精神病院に入った」というだけの文脈で羅列した中に、一つの名前。
やはり仲間だったウォルドー・ダンガーフィールドというのもいます。
これって『ドクターブラッドマネー』の、デンジャーフィールドと同じ名前だろうか。本当に「仲間」の名前だったのかな?