自転車は春風をきって

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自転車は春風をきって、ぼくを家へと向かわせた。

山の上の女子校の入学式があったのか、着慣れぬ制服とその親たちと。きみたち、できるだけいい友達を作り、いい恋をするんだよ……学び舎で。

ああ、そしてぼくは、朝、電気ヒーターを切ったかどうかを確認するために、強迫性のゴーストのささやきをとめるために、きっと切ったはずなのに、今朝の強烈な眠気、おぼつかない記憶、記憶、記憶! 燃えるアパートの幻影!

昼休み、無人のうすぐらい部屋、ヒーターはきちんと切れていた、コンセントも抜けていた……わかっていたんだ。けど、強迫性のゴーストが。「笑っていいとも!」の後釜も見ず、またおれは自転車にまたがって……少し行ったところで自転車を駐めて、アパートに戻って鍵がかかってるのを確認した。

また、自転車は春風をきって進んだ。頭のなかは……ヒーターを切るという行為を確認するために、わざわざ一度ヒーターをつけてから、切ろうとはしなかったか? つけて、ふとなにか(「笑っていいとも!」の後釜の番組をちょっと見ようか見まいか迷うなど)に気を取られて、結局つけたまま部屋を出てきたなんてことはないだろうな……とか思いながら。それはもう、真剣に。精神疾患スペクトラム。ぼくが双極性障害だからといって、強迫性障害の要素がないとは言えない。右足と左足とは違うんだ、脳ってやつは……場合によっちゃ右足と左足を取り違えるのも脳だ……。

普段とは違うコンビニで弁当を買って……100円ローソンとの差に愕然として……ぼくはなにかしらの薬を飲んで、燃えるアパートの火を消そうと思う。行き場がないんだ、生き場がないんだ、ずっとなかった……居場所なんて……ずっとずっとなかった。せめて二日、二日連続で休みたい……一月からずっと土曜日も会社だ……脳が春を燃やす……。