とある異世界の単位について(さんざん言い尽くされたことだろうが)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

 今期のアニメ『とある飛空士への恋歌』を見ていて、登場する飛空機「エル・アルコン」の紹介をするのにメートルやノットが出てきて「うーん」と思った。公式サイトにもこうある。

全長:7.29m 全幅:9.33m×3.10m 自重:990kg 最高速度:350km/h

http://koiuta.tv/hikuki/

 むろん、原作(関連作含め完全に未読です)の著者や編集者(アニメのみのデータだったらすみません)も考えた結果こうしたものだろう。だろうけれども、おれはどちらかというと……これに引っかかりを覚えてしまう人間なのだ。解決策はおれが見なかったことにするか、見ないことにするか……死ぬかすればいいのだけの話なのだけれど。
 まあ、こんな話は20年前くらいに清水義範が書いていたコラムかなにかで読んで意識しはじめたことで、古くから創作の場にあった問題だろう……架空世界の単位。これがお金やならそう問題にならない。現実世界を見たって国ごとに違ったりする。物価については考える余地があるだろうが……日本円に合わせた方がいいのか、逆に変えた方がファンタジー感が出るのか。
 問題は、度量衡。これである。度量衡のまったくない異世界、というと文明が発達していなさそうで……それはそれで異色なのかもしれないが……まあ、たいていはあるはずだ。とくに人工の飛行機があるほど文明が発達していたら、ないはずがない。メートルを使うか? ノットを使うか? グラムを使うか? 使うも一手、使わぬも一手……おれは、とくに伏線があるわけでもないのに使わないでほしい、というあたりだろうか。
 というか、おれは『とある飛空士』はこの現し世と無関係の物語世界と決めてかかっているが、そうじゃない可能性もあるわけだ。ある、とするとこの紹介自体伏線となるわけで、それを気にするのは真っ当な予感といっていい。とすると、もとより野暮なこのエントリもさらに野暮なものになる……まあ一般論として、読んで。
 おれとして望ましい代案はというと……現実の単位に合わせた、その長さを想像しやすい架空単位を作ってくれればいいのに、くらいか。単位は少し固有名詞性? が高すぎる……じゃあ「ファウスト」という登場人物名はどうなるのか……おれはこれにひっかからない。ともかく「7.29メートル」を想像させるのに「7.29メトール」にするとかでいい……「メトール」がすんなり変換されたので調べてみたら、写真現像に用いる「硫酸パラメチルアミノフェノール塩酸塩」の商標名らしいので、これはアカンかもしらんが……いまどきどれだけの人間が写真の現像に気を使うのか。
 あとは、単位を使わないで、語り手に「自分の身長の7倍はある」とかか……冗長でわかりにくいかもしれない。これも、異世界ものでも人類……にあたる存在……は我々と変わらぬ体躯を持っているという前提だが。実は全部10倍だ! ……という仕掛けをしたところでなにか面白くはならないだろうが、わからない。『マクロス』のように出会う展開に持っていけばそれも一局、かもしれないが。
 と、こんな話はともかくとして……いきなり話は飛ぶが(『飛空士』だけに! 飛んジョルノのように!)……今期は本作をふくめて、どうにも視聴を続けたいアニメが多くて困る。過半数というより、「ほとんど全部」に近い。といって、この作品のどこが面白いとか、そんな話をせずに、「メートル」にケチをつけている……それにたぶん、この話は前にもしてるぜ、たぶん。まあいい、どうでもいい。おしまい。