ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー』を読む

 パトレイバーとおれ。おれが中学に上がって『週刊少年サンデー』を読み始めたとき、『パトレイバー』の連載は終わっていた……と思う。おれにとっては、少し上の世代のものなのだ。そして、おれはガンダム以外のロボット物を「ガンダムでないので」という理由で見ようとはしなかった。べつにそこまでガンダム信者というわけでもないのだけれど、「そんなに手は広げられないよ」というところがある。セ・リーグ広島ファン、じゃあパ・リーグでももう一球団、という気にはなれないな、というか、プロ野球があるからJリーグはいいや、というか。
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 そんな風にパトレイバーとは距離を持って生きてきたが、どこかで押井守による劇場版二作を見た。とくに二作目の方はとんでもないくらいすごいしろものだったんじゃないかと思った。思った一方で、「どうもこれはパトレイバーの本筋を外れているらしいから、むしろおれのようなものが喜んだんじゃないのか」とも感じた。その予感が正しいかどうかわからない。
 パトレイバーの本筋はどこにあるのだろうか。Wikipedia程度読んでみてもメディアミックス的なあれやこれやで、「漫画原作」というわけでもないようだ。とはいえ、漫画も核を為すものだろうし、手に入りやすいという理由もあって読んでみた。なぜ、いま? なんか実写版の話が出てるところで、コンビニ売りの分厚いやつを見かけたから。見事に乗せられてるな。
 で、全巻読んだ。ちなみに、劇場版は「とんでもないくらいすごいしろものだったんじゃないか」というくらいしか覚えていない。まっさらなところから読んだという印象だ。とはいえ、篠原遊馬が御曹司だったりとかいう設定を知っていたり、どこで遭遇したのかいくらかの知識があることに驚いた。驚くほどでもないか。
 漫画の方はもう一気に読んだ。読むくらい面白かった。さんざん言われていることだろうが、先見性のようなものは見事だ。何年前かというのがはっきりとわからんが、たぶん。もっとも、大型人型機械についちゃクラタスが健闘しているくらいだろうか。
 それよりも、といっちゃなんだけれども、後藤隊長に泉野明に太田にと、いきいきしたキャラが躍動していて、たいそう面白かった。ロボットもののアクション、格闘といったところに抑制が効いているくらいのもので、「こういうものだったのか」と思った。いや、そういう感じだろうとは薄々思っていたのだけれども。
 いずれにせよ、ひとつ(ふたつ目か)『パトレイバー』世界に触れたという。あくまで「触れた」だ。当時リアルタイムを知るファンからは遠く隔たりがある。それは否めない。そういう作品世界との距離感というものはある。『戦闘妖精・雪風』を読んだところで、スッと「無人化すべきである」というのは出てこない。あるいは、これが年をとってから何かの作品に触れるということなのだろうか。とすれば、いくらか悲しい話ではある。