山田芳裕『へうげもの』15巻まで読む

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 山田芳裕の漫画というと、まず『ジャイアント』が思い浮かぶ。主人公が「ぼかぁ」と言ってる印象がある。面白い漫画だった。おれは週刊モーニングで『ジャイアント』を読んでいた。そんなときもあった。一家離散のようなことがあって、漫画を読まなくなってしまい、『ジャイアント』も途中までしか知らない。その後、『度胸星』という漫画の評判もちらちら耳に入ったが、漫画を読む余裕がなかったので知らないふりをした。
 そして『へうげもの』である。Wikipediaによれば「第13回(2009年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第14回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。2011年4月からアニメ化放送」とある。そこまで来た漫画のことが耳に入らないはずがない。そして、『ジャイアント』の作者が戦国時代だからおもしろすぎるに決まってんだろうな、と思った。
 思って数年経って、大人買いならぬ子供買いとでもいうのか、ポツポツと買い集めて15巻まで買った。なんとなくキリがいいのでここにメモする。
 やはり面白いに決まってる。破格といった感じだ。なにせ、笑わせなければならないところで笑わせてくれる。出てくる人物の顔がうひょーとなったら、こっちの顔もうひょーとなる。
 そう、人物たち。古田織部を始めとして、これでもかという濃さの戦国武将や茶人がわんさか出てきて、強烈な生き様を死に様を見せてくれる。「もの」への執着が「人」への執着、愛着になっていくようでもある。秀吉の死の場面には思わず涙する。
 さらには、時代の空気というやつ、文化というやつの流行り廃りに、為政者の好みが反映される、そういうもの……。正直言って、天下取りを目指す大名だの武将だのが、天下を取って天下をどうしたいのかなんてのは、わかりゃあしねえが、やっぱりなんかあったんだろうという。戦国時代もので、そのあたりを押し出しすぎれば(たとえば妙に現代の価値観に寄り添い過ぎていたり)、なにかくさくなる。かといって、ただ戦に明け暮れてというのでは面白くない。そのバランスがいいんだ、『へうげもの』。切り口が斜めなんだ。なんというか。
 そういうわけで、「やっぱりなんか賞もらう漫画はおもしれえよ」というのと、「『ジャイアント』の作者だから当たり前さ」という妙な感情を持って『へうげもの』読んでるわけだ。一冊一冊が重い、時間がかかる、でも、そのあたりも好きだな、うん。
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これもいつかは読みたい。