おれ、『サン・トロンの雷鳴』に討たれる!


表紙のエンボス加工もすばらしいパンフレットより。

鈴木 自分は今回のバルクホルンの表情が好きなんです。バルクホルンがディアンドル(民族衣装)を着たときに、エーリカから「へんなの!」と言われて赤面するところが。

一同 あれはかわいい!!

 異議なし! もうむちゃくちゃだ! すばらしい! なんてこった! おれは、これを劇場のスクリーンで見逃すところだったとは! だって、「昔からある方式らしいけど、30分1,200円でOVAを映画館で流すのってどうよ? 30分のために出かけるの」とか思ってたんだ! 金もないし、特典付き前売り券とかもな……とか思ってんたんだ。自己批判します! いや、マジでやばい、帰り道、あの、あえて無理のある花瓶と首チョンパの構図から、あの流れで……、思い出してはニヤける自分の顔を隠すしぐさを何度した! 危ない! まったく、やられてしまった! お姉ちゃん史上最高の表情だ! いいや、映像化されたすばらしいストライクウィッチーズ史上最高のシーンといっていいかもしれない! もう、おれは負けた、打ちのめされた、こういう感情を……萌えとでもいうのか? いいや、なんでもいい、あの表情を見るために、もう一度行こうかという勢いだ、勢いがある! 猛烈な強風が吹いている! 雷鳴が響いている! 円盤はいつ出んの! 繰り返し観るけん!
 ……ハァハァ(注:息切れ)。というわけで、おれはすばらしいストライクウィッチーズOVA第一弾『サン・トロンの雷鳴』を観に、東アジア最高の都市である川崎に行ったのだった。劇場版のときも思ったのだが、なぜみなとみらいに3つもシネコンがありながら1つもやりゃあせんのだ。みなとみらいなど液状化現象してしまえ。と、出不精のおれが横浜市外に出るのは、だいたい普通の人が二つ隣の都道府県に行くくらいのことなのだ。先に書いた通り「30分のために?」という思いを抱きつつだ。おれの不明の生み出す余計な感情だった。すばらしいストライクウィッチーズのファンであれば必見であろう。すばらしいストライクウィッチーズのファンをそれほど自認していなくても、作品を観たよという人でも必見であろう。あと、全人類も観たほうがいいと思う。
 そうだ、先に書いたトゥルーデの表情一つじゃあない。一本の話として実にすばらしかった。日々見ているテレビアニメの1話分と同じとは思えない(厳密にはCMとかあって同じじゃないかもしれないけれど)密度、盛り上がり、充実感。一回放送が終わった直後にもう一回流れても楽しめたろう。もはや完成されたすばらしいストライクウィッチーズ世界のキャラクターたち、これがいきいきと躍動している。ジェットストライカーやMe609(?)ネタのミリタリー面の充実、迫力の戦闘シーン。まだまだ心配ない、すばらしいストライクウィッチーズはあと何年だって戦える……!
 と、心配とはなにかというと、一ファンの勝手な想像なのだけれど、高村和宏監督のモチベーションなのである。過去の公式本、たとえば1期でやりきったんじゃないかとか、キャラが増えすぎると監督の身上である「かわいい」が掘り下げられないのではないかとか……。そういうわけで、今回も501のカールスラント組を中心にウルスラ(これは野川さくら先生がもっと演じたいとラジオでよく言っていたのがかなったか。言えば採用されるおそろしいラジオ)とハイデマリーのゲストという構成。一気に舞台を504、とはやらんかった。そして、次回予告を見るに、劇場版に出番のなかったおれの好きなマルセイユの姿が。あくまで501中心、そこからじわりと膨らんでいく。そういう展開なら、それがいい。
 さらに一ファンが妄想をふくらませるに、高村和宏監督こそは未来の巨匠に違いない。そうだ、富野由悠季監督が「いつまで自分はガンダムを……」と思うように、庵野秀明監督が「いつまで自分はエヴァを……」と思うように……ちょっと待った、あんまりいいたとえじゃないかもしれない。まあいい、ともかく、『サン・トロンの雷鳴』はみなかわいかったしかっこよかった。これはOVAのこり2本も当然期待しよう、TVAにも期待しよう。それまで、おれも、待機できるなら待機しつづけるさ。
 それじゃあ、帰りに買った漫画読むから(今日だけでいくら使ってんだ、おれ)。おしまい。

ストライクウィッチーズ 小ぃさいズ (カドカワコミックスAエース)

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……いつか? と思ってたらAmazonで予約受け付けてた。