私は小さい時分からディズニーのネズミが大嫌いでございました。浦安の施設にも興味はありませんでしたし、ネズミの仲間のキャラクターにもとんと好意を抱くことはなかったのであります。ドラえもん、ガンダム、タブチくんの方が大好きな子どもだったのであります。
ゆえに、ディズニーの長編アニメというものも観た覚えがありません。実写映画ならばあるはずですが、アニメの方は記憶にありません。CGで作られた近年の作品などもまったく知らないのでありました。
とはいえ、なにか理由があって下に見ている、などということはございません。肌に合わないだけなのであります。現に、この『アナと雪の女王』の予告、ロゴとタイトル以外は「レリゴー」を歌うシーンだけ、というものを映画館で3度ほど見かけましたが、「なにもかもたいしたものだ」と思ったわけであります。
そして私は、その予告編だけで観たような気になっていたのですが、一度くらいディズニーのアニメというものに接するのも悪く無いかと思い、借りてみた次第なのです。
まず、日本語吹き替えにするか、日本語字幕にするか迷ったのですが、ここはひとつ日本語吹き替えにいたしました。日本語版の「レリゴー」も評判のようですし。
さあ、ディズニーです。私は「子供を飽きさせないための、世界最高峰のテクニックが盛り込まれているに違いあるまい」と思いながら見始めました。するとどうでしょう、やはり3分……いや5分に一度くらいはなにかしらの見せ場があるようで、ほう、ほう、思っているとどんどん話が進んでいきます。圧倒的に美しい画面でバカスカ撃ち込まれてきます。ある数秒に、いったいどれだけの才能と労力がつぎ込まれているのか、想像もつきません。いやはや。
そして中盤の山場というか作品のクライマックスともいえる「レリゴー」。まあ、「レリゴー」見られれば満足というくらいのものでしょうか。
しかしなんでしょうか、アナは王子を残してきているのに、山の男ともまんざらでもないようで、こちらもありのままに自由な、そんな印象もありましたでしょうか。なんとなく童話的な古びた前提で見ていると、置いて行かれてしまうような気にもなるのでした。
そして、まあ話はいろいろあってめでたしめでたしでございます。が、公開直後に「これは同性愛的である」という指摘があったり、「従来のジェンダー観からするとこれは……」という話などもあったと思いますが、まあ皆さま頭がおよろしい。表象文化論、わかりません。私などはポケーっと観ていて、「あ、あれピエール瀧だったの?」というくらいのものでございます。そしてまた、「やっぱおれ、ディズニーの絵、苦手だわ」、あるいは「ディズニーの世界、肌に合わないわ」というところに落ち着くのがせいぜいでございました。とくに燃えることも萌えることもなく、ただ映像の美しさには見とれるようなところがあって、「あれ、ピエール瀧だったの」。なんとも情けない話ではありますが、このようなところであります。そしてまた、ハロウィンの頃に街で見かけた、親に連れられた大量のエルサ、そこまで子供らの心を鷲掴みにした理由というのもよくわからないままなのでございます。
……アメリカ人に「日本アニメファンに言われたくねえよ」と言われるかもしれませんが、なーんか顔と目のバランスとか、違和感あったんですよ……。