残念ながらおれの健康診断はほとんどA判定なのだぜ

おれとKenとBenものがたり - 関内関外日記(内)

はじめてのたのしいバリウム - 関内関外日記(内)

要するに、エッチな意味で、初ガツオ……いや、違う、要するに、おれは健康診断を受けたけど、と、そういう話である。とはいえ、おれが総合的な健康診断を受けるのは大学に入ったとき以来だから、20年ぶりくらいといっていい。

おれにはひどい希死念慮がある。精神科医に「最近、アパートを出たあとに火の元が気になる。通勤の自転車に乗っていても、交通事故に遭うんじゃないかというイメージがよく湧く」といったところ、「それは死にたがってるんだよ」と喝破されたばかりである。

そんなおれが健康を気遣うのか。悪い病気を早めに発見して、金の延べ棒を患部に当てて早期治療を願おうというのか。そんなはずはない。おれは逆に、もう治療不可能な、取り返しのつかない、不治の病にかかっている、そんな判定が欲しかったのだ。

それはもう、宝くじに当たるというのと同じことに等しい。余命半年なら半年、一年なら一年、もう苦しまずに生きていける、そういうことである。もう働きもしないし、将来への不安もないし、安らかに死んでいける、そういう妄想である。

そう、妄想にすぎないのはお前に言われんでもわかっとる。急に生への執着が湧いてきてどうしようもなくなるかもしれないし、大病に罹るというのは安楽とは程遠い苦しみを伴うものに違いない。

それでも、それでも、だ。おれは健康診断でどこか悪いところがないか、あってくれないか、それを望んでバリウムを飲んだのだ。が、結果はどうだったかというと、タイトルでネタバレしているとおりだ。

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休肝日ももうけず毎晩度数の高い酒をごくごく飲んでいるのにγ-GTPが悪い(もっともγ-GTPがなんなのかよく知らないが)ということもなく、メタボリックシンドローム判定も「非該当」であって、おれはおおよそこの健診にかぎっては健康体なのであった。

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こうなればオールAでも取りたいところだが、心電図だけ「日常に支障がない」Bをとってしまった。画竜点睛を欠く。まあ、一応は期外収縮でアロチノロール塩酸塩を飲む身であって、心電図になにか出るのは仕方ない。しかし、心臓に右脚が生えているとは知らなかった。

というわけで、おれは望むような結果を得ることはできなかった。病気で苦しんでいる人(おれの身近にだっている)にとっては、とんでもなく非礼な物言いだろうが、そういうことになる。おれは精神を病んでいるのだからかんべんして欲しい。たとえば血糖値についていえば、おれはおれを安定させるジプレキサ(オランザピン)を手放したくないので、問題がなかったことに安堵しているという部分もある。矛盾がある。まあ、人間、矛盾くらいある。矛盾がなくてなにが人間か。

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そういうわけで、乾杯だ。ペルノーで乾杯だ。おれはこのペルノーの、おつまみなど寄せ付けない感じ、唇と口内に居残って存在を主張し続ける感じが嫌いじゃあない。おれの緩慢な自殺に乾杯……。

5

「一九四〇年のパリの春は

 酒も苦かったようだね」

「そう ナチス・ドイツの軍靴で

 制圧されていたからな」

「ミューズからの情けないビールを

 ラインのめっきした葡萄酒を

 シャトルーズの聖なる泉を

 あるいは哀しみのアブサンを」

「たしかにフランスのシュルレアリスト イヴァン・ゴル

『一九四〇年の春』の一節だね」

「あるいは哀しみのアブサンを」

 

田村隆一「春 1977 」部分

 

ペルノ・アブサン 700ml

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……部分部分で検査は受けたりしているのだけれど。