アニメ『寄生獣 セイの格率』は存外悪くなかった

寄生獣 セイの格率 Blu-ray BOX I

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 おれが漫画『寄生獣』を初めて読んだのは『アフタヌーン』誌であったか、単行本であったか、あるいはそのミックスであったのか思い出せない。ただ、漫画『寄生獣』というものの真っ盛りの頃に読んだ覚えはある。もちろん単行本もぼろぼろになるまで読んだ。おれはそういう世代の中年である。
 アニメ『寄生獣』。Webなどでキャラクターデザインなどを見るに、正直なところ不安があった。さすがに当時の服装でやるわけにはいかないのだろうが、これが現代風……なの? と。終わってみて思うのは、やはり多少の違和感はあった、というところか(「セイの格率」という副題にも言えるが)。
 とはいえ、全般的にオーケーじゃないの、悪くないじゃないの、むしろいいんじゃないの、というあたりの感想に落ち着く。メガネだってよかったんじゃないの、くらいには思う。一つに、今手元に原作がなくて(『ヒストリエ』ならあるけど)比べられない、なんていうのもあるのだけれど、話が進むにつれて記憶がペリペリ一枚ずつ剥がされていくような気になって、ああそうだったな、なんて思ったりして。
 ミギーの声も悪くなかった。実写映画の方はコマーシャルでしか見ていないが、平野綾、あのパンダに続いてやってくれるじゃんという感じである。というか、おれが漫画でしか『寄生獣』をむさぼり読んでいたとき、ミギーは男の声だったか女の声だったか、はたしてそんなことを気にしたことがあったのか。まったくいい加減で、不思議なことではある。とはいえ、時を経て思うに平野綾のミギーは悪くなかった。たぶん当時のおれが聴いてもそう思うんじゃないかな。わからないけど。
 とはいえ、これが『寄生獣』のアニメとしてベストだったかというと、どうもそういう感じはない。べつに比べられるアニメ版があるわけじゃないけど、そう思う。あくまで「存外悪くなかった」だ。これまた手元にないから言い切れないが、『寄生獣』といえば日本漫画史上のベスト……5? いや、10には確実に入ってきても……いいような、まあいい、いい作品のはずだ。それのアニメ化がこれで十分だったとは思えない。とはいえ、実写版はともかくとして、これで当分アニメをリメイクしようということにはならないのだろうから、なにやら痛し痒しというところはある。かように、なかなか人間の感情というものはむつかしいものなのである。おしまい。

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