岩明均の漫画体〜『七夕の国』を読む

七夕の国 (My First Big SPECIAL)

七夕の国 (My First Big SPECIAL)

 ふとコンビニの漫画棚で見つけて手にとった。アニメ『寄生獣』がおれの中では好評のうちに終わったこともあるし、『ヒストリエ』の新刊が出るにせよ、きちんと終わるのかというのが頭にあった、というのもある。おれは『七夕の国』を読んでいなかった。果たして、それが時代物なのか伝奇ものなのかなんなのかさっぱり知らないで買った。買ってみて、読んでみて、読みきってみて、非常に満足した。そして、このコンビニ売りの表紙に書かれたキャッチコピーが的を射ているな、などと感じた。それは次のごとくである。

アイディアと大局観。
殺気と呑気。
そして、
卑近とスケール。
岩明漫画の
エッセンスが凝縮!!

 まあ、マンガ好きならとっくに読んでいる作品であろうし、読んでない人にはなんの予備知識も与えたくないということで、内容については触れない。だが、この通りのエッセンスが満ち満ちている。文章について文体という言葉があるように、漫画には漫画体という言葉があればいいのにと思う(……あるのかもしれないが、おれは知らんので)くらい、「ああ、これは岩明均の独特のリズムや間合いがある」と思わせるのだ。そして、そういうものを感じさせる漫画というのが、漫画家というのがどれだけいるだろうかと思わずにはいられない。いや、あらゆる漫画家それぞれにそれぞれの漫画体があるのだろうが、それがグイグイとおれを引っ張って離さないような漫画がどれだけあるのか、と。
 コンビニ売りの廉価版で税込み926円。コンビニで500円以上使うと負けだな、と思う貧乏人のおれだが、これをなぜかたまたまカゴに入れてしまったことについて後悔はない。いやはや。まあともかく、次は『ヒストリエ』だが、ハルパゴス携帯にモロヘイの矢を受けてしまったのかなにかしらないが、一向に出てくれない。こいつが完結するまでおれは生きているのだろうかという気にさせられる。頼むから最後まで読ませてくれ。『七夕の国』がどんなペースだったのかは知らないが、ともかくそう願うばかりである。おしまい。

>゜))彡>゜))彡>゜))彡

ヒストリエ(9) (アフタヌーンKC)

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