『狂い咲きサンダーロード』をみるのこと

 世界には『マッド・マックス 地獄のデス・ロード』があるというのなら、日本には『狂い咲きサンダーロード』があるぜ、と思ったが、おれは『狂い咲きサンダーロード』を観たことがなかった。なので観た。
 とてもチープだ。チープだけど、狂い咲きしてるなにかがあった、ようには思う。闇夜を飛び交うバイクのヘッドライトにはなにかがあった、ように思う。
 おれはとくにラストが好きだ。ラストははじまりに繋がっている。となると全篇が好きなのかもしれない。闇夜を走り抜けていくバイクのヘッドライトたち。そのスピード感。いかれちまった暴力、そしてスーパー右翼、同性愛。やっちまってるぜ、なんつうのか、やっちまってる。やられちまってる。
 とはいえ、おれはもうやっちまえる年齢でもないし、心底やられちまう年齢でもない。そもそも、やられちまう人間でもないような気がする。どこか醒めているところがある。それは別世界を見下している感じだろうか。それとも、おれにはなれない何かを見上げているのだろうか。試しにおれに機関銃を、手榴弾をバイクを寄越してみてくれ。さてどうなるか……。