秋なんかになったら、悲しくて泣いちまうぜ。
日が落ちるのも早くなって、なんだかそんな風が吹いてるんだ。
リリカルなのは秋のせい。
おれのすべて季節のせい。
すべて季節のせいにして、おれは惰眠を貪り、酒を飲み、仕事をするふりをして、自転車で遠くに行きたいと思い、バイクに乗れたらいいのにって考えたりして、やっぱり宇多田ヒカルのヒモになりたいと想像し、いつかおまえたちの前からふっと消えてしまうんだ。おれのまわりの人たちもみんなふっと消えてしまって、おれのまわりの物たちもみんなふっと消えてしまうんだ。そこで消えたのはおれかなって気づいたときには、その気づきを思い出すおれは不在。
心ここにあらず。心どこにもあらず。不生不滅。
今日はなんだか金曜日みたいな気分だぜ。
木曜日なのに金曜日みたいな気分だぜ。
だからおれは酒を買って帰るんだ。
テキーラ買って帰るんだ。
それじゃあ、いつか会えたらな。
涼しい風の吹いてる秋の日がいいかな。
都市が清冽な空気に満たされた冬の日かな。
おれの心そこにあって、あなたとなにを話すだろう?