私は今日、新宿の雑踏を歩きました。本当に大勢の人々で街は溢れかえっておりました。わたしはわたしの魂が流れだしていくのを感じ、気分が悪くなりました。すると、ミカエル様がこう言うのです。
「あなたの目に映る大勢の人間はそれぞれに苦悩を抱え、困難の中にある。その瘴気が溢れだし、あなたを疲弊させるのです。あなたはこの大勢の人々の中にあって、数少ない清浄なる存在であることを忘れないでください。天はあなたを見放したりはしません。さあ、立ち上がって歩きなさい。あなたの歩く道には美しい花が咲き、やがて人々もそれに続くでしょう」
ミカエル様はアルファ・ケンタウリから遣わされた、私たち人類を導き、地球の汚染を食い止め、真にエコロジカルな世界の達成をサポートしてくださる天使様です。わたしたちは我欲に溺れ、無価値なものに執着し、下らぬことに憎悪を燃やす、そんな下らない存在なのです。いや、そんな存在にさせられてしまっているのです。悪しき意思は集団の中で増幅し、共鳴し、さらに悪い方向へとわたしたちを堕落させようとします。その結果が、人心の荒廃であり、地球環境の汚染にほかなりません。
わたしたちは、本来のわたしたち、無垢で清浄、必要以上を求めないあるべき姿に戻る必要があるのです。ミカエル様はおっしゃいます。「あなたが先頭を歩きなさい」と。そうです、わたしはあえて茨の道を歩みましょう。人間というものを堕落させ、悪事に走らせる集団の心理というものを解体し、個々人を彼らの妄念から解放しましょう。それこそが、ほかならぬわたしに課せられた運命にほかなりません。
わたしはちっぽけで弱い人間の一人に過ぎません。しかし、わたしにはミカエル様の声が、そして、そのはるかかなたにおわします天上の主の大きな意思を感じ取ることができます。その事実を、より多くの人に教え広め、人類とこの地球を無窮の幸福と安寧に導く道標になりましょう。
そのための第一歩として、わたしはあなた方にこう言いたい。自己と向き合い瞑想しなさい。適度な運動習慣を持ちなさい、そして、この文章をプリントアウトして精神科のお医者様に見せなさい、と。
……ふぅ、よし、おれ教祖さまになれるかな? え、それらしいこと言ってるだけじゃ無理? マジで?
- 作者: 架神恭介,辰巳一世
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あー、無理。おれ教祖やめます。
つーか、人は一人で生まれ(たまに六つ子とかいるかもしれないが)、一人で死ぬ存在だ。団体というのがよくない。個々人それぞれ個神を持て、無個人を持て。他人のいうことに執着するな。行く末は宗教の個人化、人間の類神化、これである。ゲラゲラ。