タカハシマコ『トイレの王子様』を読む

 

トイレの王子様 (GUSH COMICS)

トイレの王子様 (GUSH COMICS)

 

 おれの好きな漫画家というと、いろいろといらっしゃるのであるが、少なくとも10本の指に入る漫画家といえばタカハシマコ先生である。作者名で検索すると「たかはしまこと」さんと被ってしまうタカハシマコ先生である。

本作はBLものである。『トイレの王子様』といっても、トイレ内のあれこれということはない上品な一冊である。なぜこれを表題にしたのか、と思うくらいである。それにしても、男子校出身のおれがいうのもなんだけれど、男子校の個室はそんなに混まない。

収録作で言うと「ちいさい散歩」などが好きだ。空木(なにウツギ? というところも含めて)なんかが題材になっているところがいい。男子校の教師ものの「そんなこと言われても困っちゃうな」では、男子同士のキスが当たり前だという描写なんかがあって、そんなんええなーと思ってしまう。おれだって放課後の、だれもいない教室でキスしたかった同級生くらいいるのだ。古い思い出だ。でも、そんなところに意識を巻き戻してくれる、そんなタカハシマコ先生なのである。今後も愛読していきたいと思う次第なのである。……というわりには、この本を読んだのも発売からずいぶん経ったあとなのだけれど。