おっさんと中高男子校出身の呪い

寄稿いたしました。

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頂き女子のマニュアルとされるものを読んで……「ムム」となったわけです。なるよな、だって、よくできてるんだもん。もうすげえよ。すげえなってなった。

 

でもさ、あのさ、おっさん、「おぢ」もさ、なんか恋愛したいなって、ふわっと思ってんだよ。いや、しらねえ、全員のおっさんがそう思ってるのかしらねえ、言い切れねえ。でも、なんか、ふわっと恋とかしたくないか。あんたが既婚者とか独身とか、まあいろいろあるだろうけど、まあ、なんか恋みたいな。

 

恋とか、たとえば、夢で見たりしないか。おれはする。恋愛までいかなくても、なんか女の子と楽しく話すだけでも、もう目覚めたくねえよ。あ、「女の子」なんだよな。とくに同世代の女性とそういう夢は見ない。もちろん、夢の中で、おれは中学生だか高校生だかする。いまだに「出席日数」、「試験」、「宿題」とか、いろんな嫌な学校の夢を見るときも、おっさんは中学生だか高校生になるんだけどよ、まあそれと同じなんだよな。

 

でもな、小学生に戻ることはないな。さすがにあんまりそんな夢は見ない。となるとよ、おれは中高六年間男子校だったんだよな。でもって、ぜんぜん女っ気なんてなかったな。プライベートで女子と会話する機会ゼロ。そんでもって、友人からゲーム『ときめきメモリアル』を借りてプレイして脳が破壊されるみたいな、そんな人生だった。

 

というわけで、おれ自身が中高生になって、女の子と話す夢なんてのは、もう、完全な妄想というか、夢の妄想ってなんだよっていうか、まあ空を飛ぶくらいの話なんだよな。なんとも悲しいな。

 

そういう悲しい男たちが、すごく若い女の子にお金を払って遊んでしまうというところもあるだろう。そこには性欲だけではなく、「存在しなかった青春を疑似体験したい」みたいなところもあるだろう。あるいは、美少女の出てくるゲームやアニメにそれを求めるところもあるかもしれない。アニメには感じにくいが、そういうゲームをしたこともある。脳が焼かれる。

 

『ラブプラス』で脳が焼かれる人間なら、実在の人間、狡猾にこちらの心理を把握している人間が、おれの脳を焼くことも簡単なんだろうと思う。いや、まあ、こちらが人間嫌いとかあったらべつだけど、弱いんだよな。

 

セックス・ピストルズのジョン・ライドンの自伝に「男子校、女子校は廃止するべきだ」という主張があったと思うけれど、それはあるかなという気もする。

 

でも、男子校は楽だったよな。少なくとも校内ではモテる、モテないのピラミッドみたいなものがない。「だれそれが、外で彼女を作ったぞ」みたいな話も極端に少なかった。男子校の変な楽さというものはある。そして、背が低くてモテる要素のなかったおれには、それは救いだった。ともあれ、学校は大嫌いだったが。

 

なんか、すっぽり抜け落ちてるんだよな。中学生なら中学生、高校生なら高校生のときにしか体験できない、なんか、恋みたいなものがあるんじゃないかと思うんだよな。いや、中学生のとき好きな男の子とかいたけど、やっぱりこう、それはそれで、それとはべつに、なんか、こう、もっと、ときめきが……、メモリアルが……。

 

だからなんだろうね、夢の中で、中学生だか高校生のおれが中学生だか高校生の女の子とおしゃべりするのは、なんとはかなく、むなしいものだろうか。ときには、「あれ、おれピアスしてるな。ピアスしたのいつだ? おとなになってからだ。ということは、おれは今……」と夢の中で気づくこともある。おしゃべりしていたら、犯罪じゃないのか。

 

でも、ただ、そんな夢を見た朝は少しだけ幸せだ。いつまでも余韻に浸っていたい。

 

……はい、気持ち悪いおっさんが気持ち悪い語りをしました。おまえに言われんでもわかっとる。気持ち悪いよ、何歳になったんだよ? でもよ、何度でも何度でも言わせてくれよ、中高時代に取り残してきたものがある人間の空虚は、中高年になって、大人になったあとにいくらか恋愛みたいなことをしてきたあとでも、残るんだよ。

 

心の隙間だ。お金を使ったりして、擬似的な体験はできるかもしれないが、時を遡ることはできない。共学に通っていたら、もっと嫌な思いをしたかもしれない。でも、だからこそ、理想や幻想はある。

 

と、こんなふうに、「おぢ」が一つ頂き女子たちにヒントを与えてやる。中高男子校だった「おぢ」を狙え。あ、おれを狙ってもお金はないし、借金する甲斐性もないので無駄です。