トリック・オア……

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会社が身売りをするらしい。おれの処遇としては、支社長になりたいとか、役員になりたいとか、そんな思惑はないかという話になっているらしい。

冗談じゃない。おれはもう、普通の労働に対して双極性障害(II型)が負担となって、朝は鉛様麻痺、昼もぼけーっとして、夕方にようやく動けるような状態だ。おれなど、この世のお荷物にすぎない。なにが役員だろうか。雇用が継続してくれれればそれで十二分だ。普通、「たまに朝動けなくて昼頃から出社します」というような人間は不要だろう。おれは不要な人間だ。この会社にとって不要だし、この社会にとって不要な人間だ。だから死ぬしかない。

とはいえ、死ぬしかないわりには死なないのは皆さんご存知のとおりだし、ひょっとして雇用してくれるというのならばこれ以上ありがたい話はない。

おれはできればなにか物を書いて生きていたいと思っているが、そうもいかないことは知っている。おれはおれの範疇で仕事をして生きていければいいと思っているが、そうもいかないことも知っている。おれは辛い、苦しい、疲弊している。動かない身体にうんざりしているし、働かなくていいならそれが一番だと思っている。じゃあ二番はなにかといえば、おれがおれのできる範疇で働いていければいいと思っている。だれかに任せたりするのは本当に疲弊する。おれはおれの範疇ならば徹夜だって苦にしない。だれかに頼むのが本当に無理だ。自己責任の範疇、狭くて浅い、単純な世界で生きていきたい。そう願っている。そんなふうに願っている。