自立支援医療費(精神通院医療)への道・1

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自立支援医療。なんとなくその存在は知っていた。三割負担が一割負担になる。とはいえ、おれがいくら医者に生活の苦しさを訴えても、医者からその話が出ることはなかった。だからおれは、「おれは適用外なのではないのか」と勝手に思って一年近く過ぎていった。

が、どうもネットの情報を見る限りは、おれに適用されてもよいと思うようになった。毎月の受診、おれは「一つお願いがあるんですが」と切り出した。「診断書を書いていただけないか」と。

医者の反応は、待ってました、というには適切ではないだろうが、「自立支援なので、自分からおっしゃってくれなければ」という話だった。「では、書いてくれるのですか?」 というと、区の用紙が必要という。広い世間がどうなっているか知らぬが、我が区においては、まず区役所に行って用紙を取得し、それを医師に渡し、そこに記入してもらうという手順だった。

おれはそのようにした。その足で区役所に行った。区役所ではあっさりと診断書の用紙をもらうことができた。それを持って医院に戻り、窓口に用紙を渡した。診断書の作成まで一週間くらいみてほしいという。そして、手帳のようなものが発行されるのは一ヶ月以上かかることがあるので、次回以降の来院時には、なにか区役所で渡される用紙を出してくれという。

一週間経って、電話で診断書の作成を確認して、それを取りに行った。診断書の値段は四千円プラス税。なにか患者には見られないように封筒に入っているかと思ったら、むき出しだった。むき出しの上、受付の看護師さんが「間違いがないが確認してください」というではないか。医師の字はおれより読みにくく、正直なにが書いてあるかすぐにわからなかった。だが、なにやら重度ということであった。生年月日などを見て、「間違いないと思います」と言った。おれは費用を払った。区役所に向った。

その途中、もう一度むき出しの診断書を見てみた。コンビニでコピーを取ろうか? まあいいか。いや、しかし。これは今でもおれのなかにある。あるが、結局取らなかった。

区役所。高齢福祉課とかなんとかいうところ。待ち時間なし。必要な身分証明、マイナンバー、医院と薬局の情報、それらを出す。すると、上の用紙が発行された。正式の手帳のようなものが発行されるまでに二ヶ月くらいかかるので、その間はこれが使えるかもしれない、とのことだった。医院で説明を受けたとおりだと言ったら、それはいいということだった。

もちろん、これはおれの市区町村での手続きに過ぎない。もしも自立支援医療を受けようと思うなら、とりあえず医者に言うより先に役所に行ったほうがいいんじゃないのだろうか。

いずれにせよ、これにより、おれの診断料と医薬品費は三割負担から一割負担になるだろう。四千円プラス税の元を取れるのは何ヶ月目か? いや、そんなことはいい。おれは今後も精神科医に通うつもりでいるということが重要だ。おれは今日死ぬつもりはないし、明日死ぬつもりはないということだ。せいぜい、診断書の費用をペイする日までは死ぬつもりはないということだ。携帯電話を変えようと思っているのも、自立支援に申し込むのも、生きようという行動にほかならない。おい、おれは生きようとしているぞ。祝うがいい、呪うがいい。まったく。