セカンドオピニオンって保険適用外なの知ってた?

 

 

おれはいまのところ最初に診察を受け入れてくれた医師に信頼をおいている。なにせ、切羽詰まった状態でいろいろのクリニックに電話して、「初診は数週間先です」というところ、当日診てくれた。一時間くらい時間をとってくれた。あとからサイトを見て知ったが、「初診を優先します」みたいなことが書かれていた。あのとき、おれのせいで待たされた予約の患者さんには悪く思う。もし、おれが緊急の初診患者のせいで 待たされることになっても悪く思わないようにしたい。

 

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というわけで、おれにはセカンドオピニオンはいまのところ必要ない。もっとも、アルコール依存症についてナルメフェン塩酸塩水和物(セリンクロ)でも処方してくれないかと聞いてみたところ、アルコール依存症の専門医ではないから出せないし、薬だけじゃ治らないよと言われて、阪東橋の専門医を教えてくれた。

 

 

専門医ではない、というのはなにか、この本に書いてあった。

医療以外の面では、本来は軽症アルコール依存症対象の薬剤にもかかわらず、厚生労働省告示により20時間のアルコール依存症臨床医等研修を受けた依存症の専門医のみが処方可能で、実質的にプライマリ・ケアでの処方が不可となっており、今後の大きな課題となっている。

「アルコール依存症の薬物療法」真栄里仁

もっとも、おれの主治医はむかし「せりがや」にいたとも言っていたので、依存症にも詳しいのだろう。「シアナミドなら処方できるけど」と言われたけど、薬飲んでさらに酒のんで苦しむ自分が想像できたのでお断りした。

 

で、話は冒頭の「精神科のセカンドオピニオン」に戻る。なぜこの本を読もうと思ったかといえば、双極性障害のオーソリティである加藤忠史先生の名があったからだ。それに、おれだって、「おれも双極性障害と診断されて手帳まで発行されているけれど、身体が麻痺、硬直するような症状はめずらしいと言われたし、ひょっとしてなにかべつの病気かも」と思わないでもないのである。

 

で、知って驚いた事実が、「セカンドオピニオンは保険適応外、自費診療」という事実だった。これは精神科に限らないことらしい。びっくりした。想像していなかった。無知を恥じるばかりだ。

 

で、精神科のセカンドオピニオンというのも、三十分で三万円とかで、主治医の申し送り書があっても十分な診断ができるかどうかという話であり、さすがに異常な多剤多量処方などについてはわかるが、基本的に「主治医の方針でいい」ということになる、みたいな話だった。

 

そしてむろん、主治医に「セカンドオピニオンを聞いてみたい」と言い出すことの、患者側のハードルというものがある。血液検査やレントゲンでわかるものでもない精神疾患、その診断について疑義を持つということは、その医師を信頼していないという表明にもなりかねない。関係性にひびがはいる可能性もある。そのうえで、短時間で高額なセカンドオピニオン。あえて受けようという人は少ない。

 

そもそも、セカンドオピニオンというもの自体は、アメリカの保険会社が癌の手術前などに複数意見を聞いておくべき、というところから始まったらしい。精神科について適用される保険があるかどうかわからないが、ひょっとしたらそういう保険もあるかもしれない。そのあたりはわからない。

 

にしても、まあ、なんだ、べつの医師の見解を聞くのがけっこうハードル高いというのは意外だった。むろん、「初診です」ということにして診察を受けることは可能なのだろう。『やってみたくなるアディクション診療・支援ガイド』の「処方薬・市販薬依存の治療上の留意点」(宇佐美貴士)にはこう書かれている。

 

BZD受容体作動薬使用や市販薬使用を続けるにはかなりの経済的負担がかかる。BZD受容体作動薬を求め毎日内科を渡り歩くこと、毎日ドラッグストアで市販薬を購入することを想像してほしい。日常生活に支障を来すため、なかなか正規の仕事に就くこともできなくなる。

 

逆にいえば、日常生活に支障があるほどの努力(?)をすれば、BZD(ベンゾジアゼピン)をいろいろなクリニックから処方されることが可能ということでもある。そこに横のつながり(病院ではなく処方薬局の話になるのかな)はない。マイナ保険証でも、たぶんそこまでのことはできない。いずれにせよ、「初診」ですという顔をしていろいろなクリニックに継続して通うことはできるのだろう。

 

というわけで、もし自分が精神科のセカンドオピニオンを本気でほしくなったら、「初診です」という顔をして、べつのクリニック行くことになるだろうな。でも、おれは双極性障害と診断されていて、それに対する薬(オランザピン→ラツーダ)も効いているような気もして、その経歴を説明せずに症状を伝えることができるのかはよくわからない。まあ、今のところ必要としてはいない。

 

にしても、まあ、セカンドオピニオンというものが自由診療、全額自己負担というのは、本当に知らなかったな。もし自分が癌と診断されたら……面倒だし金もないし死んでもいいし、セカンドオピニオンとか考えないかな。まあそんなところ。