日本人はプロレスを愛しうるか

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今日の昼休み、職場のお姉さまがたに「中邑真輔って知ってますか?」と聞いたところ、だれも知らなかった。「中村俊輔じゃなくて?」。

おれだって中邑真輔をそんなに知ってるわけじゃない。ボマイェ(向こうではキンシャサノキセキだかなんだからしい)と、妙な動きをするプロレスラーだな、という程度だ。妙な動きでいえば、おれは太陽ケアの歩き方が好きだった。

TAJIRIが海を渡って活躍したときもそうだった。「WWEの全世界の視聴者はメジャーリーグの比じゃない。ゆえにイチロー以上の有名人といえる」というような。とはいえ、おそらくTAJIRI中邑真輔より職場のお姉さまがたに知られていないだろう。タランチュラ。

いまさらながら、タイトルは主語が大きい。アンドレザ・ジャイアントパンダくらい大きい。正確に言えば、「おれはプロレスを愛しうるか」だろう。いくらかの日本人はプロレスを愛している。プロレスは日本を愛している。

思えば、おれがプロレスラーというアスリートないしはエンターテイナーをしっかりと見たのは、総合格闘技がテレビの地上波で大はやりしているころだった。おそらくは、人材不足などの理由から、プロレスラーは総合格闘技に挑み、無残な姿を晒していった。そんなプロレスラーが、本来のリングの上でいくらプロレスの腕前を発揮しようとも、おれには魅力的に映らなかった。

おれより下の世代となると、そういうものを見てこなかったのかもしれない。むしろ、総合格闘技なんてものは地上波からほとんど消え去ってしまった。そして、オカダ・カズチカ経由か、東スポにファミレス代を払わせるやつ経由かしらないが、キラキラのプロレスから入れたのかもしれない。だから今、新日本プロレスは繁盛しているのかもしれない。あくまでおれの推測で、今のオーナー企業がなにかしらうまくやっているからかもしれない。なにかしらってなんだ?

中井祐樹UWFの試合でキャメルクラッチが極まるのを見て、自分の七帝柔道の経験から「これはインチキだ」と思ったとかいう話だが、それなりの数の日本人のどこかに、ガチ好きの血はあるように思える。そもそも、相撲も柔道も空手も日本生まれで、何かしら格闘技好きのところはあるのは否めないだろう。ジュードー・チョップ。

年末の総合格闘技にかわって風物詩になったのはボクシングのタイトルマッチだった。日本人なら紅白を見ろ。それとも、タイキック?

おれはWWEの規模というものを説明された言葉で読んで知るだけで、体感したことはない。ジ・アンダーテイカーを生で見たこともない。だから、やはり中邑真輔の偉業も同じようにしか感じることができない。そこには「イチローはすげえな」と思うこととは何かしら差がある。

そして、おれはヴィクトワールピサの偉業を競馬知らずの人に説明する自信はない。しかし今日の川崎記念、「福永祐一はこの面子でもニ、三番手だろう」と思ったのは見くびりすぎだった。

スポーツ紙を除く一般の新聞というものは、ボクシングの世界戦ならスポーツ欄に載せるだろう。総合格闘技は、載せなかったかな。プロレスは、言うまでもなく。とはいえ、力道山の時代は、アントニオ猪木ジャイアント馬場の時代はどうだったのかは知らない。

たしかWWEは裁判かなにかではっきりとカミングアウトしていたと思う。日本のプロレスは(というとまた色々な団体があるのだろうが)どうかというと、そこのところが曖昧だ。その曖昧さが一般紙のスポーツ欄かエンターテイメント欄に、中邑真輔の名を刻めない理由かもしれない。どっちに載せていいのか、扱いに困る、というところかもしれない。

そういうおれも、似たようなものだ。おれにはプロレスの「コク」がよくわからない。中邑真輔がハリウッドの大作映画の主役に抜擢されたようなものだ、と言われても、そのすごさがよくわからない。それならば、おれはその抜擢した人だか組織を称えればいいのか。抜擢するすごい人だか組織の思惑を称えればいいのか。もちろん、その抜擢するすごい人だか組織だかに認められるくらいファンから支持を得ている中邑真輔というプロレスラーというものがあってのことだが、なにやら堂々巡りするようで、よくわからなくなってしまう。プロレスのブックの上で、いや、中に入って一緒に踊らなければ楽しめないのだろうか。筋書きを決めた「だれか」を心から追いやってしまえばいいのだろうか。「描かれた筋書き」を追いやってしまえばいいのだろうか。それとも、それらを俯瞰的に見て、なるほど、そういうことですか、という態度を取ればいいのだろうか。

その点、ガチ(とされる)格闘技はわかりやすい。強いから強いのであって大舞台に立てるのであって、強いものが強いものと戦って勝ったり負けたりしてわかりやすい(と、単純に見てしまうたいへんなミーハーではあるのだけれど)。どうも、おれは阿呆だからプロレスの「コク」がわからないような気がしてきたりもする。プロレス的なもの、の見方というのはたいへん奥深いので、おもしろくはあるが、奥に進むのが面倒でもあるのだ。この面倒くささを突き抜けて、「国民栄誉賞じゃね?」くらいのプロレスラーが出てきて、おれですら心酔してしまうようなことがあるのか、ないのか、それもよくわからない。

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