そうか、もう丸はいないのか。

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夜道、信号待ち、やけに赤く色づいた街路樹の葉を見る。単に赤信号の光を反射しているだけだった。

丸佳浩カープを去る。去って巨人に行く。おれはこのあいだ、こんなことを書いた。

【お恵み】カープ残念の本麒麟ありがとうございます! そして、丸は……。丸のいないカープは……。 - 関内関外日記

おれのなかでは98%くらいは巨人への移籍、残りの2%をロッテと残留が争っている、という見立てだ。というか、まあ巨人に行くのではないでしょうか。

おれは丸の流出を覚悟していた。いや、覚悟というほどのことでもない、かくして、そのようになるだろうと思っていただけだった。そのことは、あるいは昨年の契約、すなわち複数年契約の提示とタイトル料なし、というカープと丸の亀裂から始まっていたのかもしれない。十分に丸が去ることへの心構えはできていた。

むしろ、動揺したのは丸だったのかもしれない。シーズン後半の失速、日本シリーズでのブレーキ。丸も人間なら、そういうこともあるのかもしれない。もっとも、カープファンにとっては余計な人間味ではあったが。

丸が出ていく。おれにとっては、おれがまだ若いころ「巨人キラーが巨人に行ってどうするんだ!」と憤った川口和久、あるいは、まったく見当がつかなくて茫然となった新井貴浩阪神行きに比べたら、なんというか、なんということもない。カープとはそういう球団なのだし、読売とはそういう球団なのだ。

とすれば、関東出身のカープの選手が「いずれは関東に戻り、読売で大金をゲットする」というモチベーションで頑張ってくれればそれでいい、ということである。その頑張りのタイミングが重なって、たとえばリーグ三連覇のような形に結実すればよいのである。できれば日本一がいいのは言うまでもないが。

そして、選手としてのピークを迎えたころに、読売からのお迎えが来る。そしてチームは萌芽更新する。また奇跡的な重なりを待つ。それしかないだろう。

選手としてのピーク。負け惜しみではないが、丸はいまピークだろう。あるいは、あと一年、二年は持続するかもしれない。しかし、これからさらに伸びていく選手、というにしては結果を出しすぎてる。まだ、カープには若手がいる。それ相応の(といっても他球団からしたら貧相な)年俸を払わねばならぬ主力がいる。ともかく、そうやって、サイクルを刻んでいくしかないのだろう。

もっとも、丸がいなくなって、苦しくないわけがない。優れた選球眼と長打力、そして脚もある。理想の三番打者。二年連続リーグMVP。これをカープから削ぎ落としただけで、読売にとって得だろう。たとえ丸がまったく使い物にならなかったとしても(その可能性は低いと思うが)。

というわけで、丸は丸の選択をした。もう広島でやることはなくなった、といえばそうなのだろう。それだけの活躍をしてくれた。背番号63。何人かいた「前田二世」の一人。そこからチームを代表するビッグ・フェイスにまで上り詰めた。いや、リーグを代表する顔になった。それで十分だろう。

そして、来春、ふと思うのか。「そうか、もう丸はいないのか」と。いや、開幕戦で丸はいるのだ、敵チームに。顔を合わせたらドスで刺す、というほどのことでもないが、にこやかに握手する、というわけにもいかぬ間柄。遠く横浜在住の貧乏人であるおれが、当日の広島の球場にいることはない。ただ、心の中でブーイングして出迎えてやろう。それは、そういうものだろう?

 

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