やっぱりカープもトラックマンを導入したほうがいいんじゃないの

11連敗の翌日に「カープ特集」を発売した、Number編集長の告白。 - プロ野球 - Number Web - ナンバー

この記事を読んで、Numberの「カープ特集」を知った。おれはあまり雑誌を買わないのだけれども、カープのあまりにもひどい状況でこんな特集を出してしまったのが面白くて、買った。

 

カープに学べ」である。いやはや。……とはいえ、読み応えのある特集であった。というか、紙の雑誌をひさびさに読んだので、特集以外も楽しかった。

で、「カープに学べ」の14項目それぞれに面白かった(あと、イラストがかわいい)わけだ。ドミニカアカデミーの現地リポートなど、実に興味深い。が、その項目にカウントされていないページ半分の記事が気になった。

題は「12球団で広島だけ未導入。弾道測定器「トラックマン」。そう、おれがつい先日、カープが苦戦している理由ではないのか? と思った情報戦、その要因の一つ「トラックマン」だ。

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トラックマンがなにかについては、日刊ゲンダイの記事と同じようなことが書いてあるので、そちらを読まれたい。

唯一トラックマン未導入でも…勝てる広島の「データ戦略」|野球|日刊ゲンダイDIGITAL

で、このNumberの前原淳氏の記事では、これについて選手のコメントがある。記事とは順序が逆になるが、まず鈴木誠也。導入賛成派。

「導入してほしいのは球場のスピードガンの数値が一定になるから。今季は右、左投げ問わず安定しないんです」。打席での体感速度と計測が異なると客観と主観のすり合わせにズレが生じてしまうのだろう。

プレイにおいては同じ背番号を背負った前田智徳のようなストイックな求道者である鈴木誠也。その繊細な感覚においてこう述べている。

が、もっと重大なのは、正捕手であり、データが重要なリードという仕事を担っている會澤翼のコメントではなかろうか。

會澤翼侍ジャパンでトラックマンのデータに触れ、導入賛成派。「これはすごいと思いましたね。捕手として対戦してきた経験が大事だと思っているのですが、それでも困ったときの根拠になる。特に対戦が少ないときはいい」。

実際にトラックマンのデータに触れた、會澤が「すごい」と言っているのだ。これは大きい話ではないか。ともかく、四番打者と正捕手が、球団の方針に逆らって(というと言葉はきついが)導入に賛成しているのだ。これは重く受け止めるべきじゃないのか。

再度言うけれども、情報戦で負けていては、戦う前にかなり不利を受けている。たとえ対戦数の少ない交流戦でも、そこでチームが調子を崩してリーグ戦に戻ったら損害は大きい。そしてなにより、同リーグ他球団の、データという「根拠」でズバッと投げこんでくる投手、フルスイングする打者に対して、カープの選手が力を発揮しきれないのではないか。そういう懸念がある。

記事にもあるが、トラックマンの導入には「バックネットの張り替えに加え、一部座席の改修工事が必要」で、さらにシステム管理費や維持費、人件費も必要となるし、カメラの設置台数もメジャーに比べて費用対効果が望めないというが……。

やはり同じ目的のために切磋琢磨する集団があって、その12のうち11が採用しているものというのは、有用ではないかと思うのだ。単純な話。

もちろん、他の球団がそのデータを十全に活かし切れているかどうかはわからないし、現実にカープは導入せずにリーグ三連覇しているわけだけれども、正捕手と四番が導入に賛成しているのだ。もはや、トラックマンは贅沢品ではなく、プロ野球団の常備品くらいに考えるべきじゃないのか。幸いに、今、カープはそれなりにお金を稼いでいる。今からでも遅くはない(といっても今シーズンからは無理だろうけど)、変な観客席を作るくらいなら、トラックマン導入をしたほうがいいんじゃないのか。

そうだ、「なんとなく読まれてるんじゃないか」という疑義の中で選手たちをプレイさせるのはよいことではない。ファンにとってもよいことではない。イチローがなんと言おうが、今この時代は、個々の選手が頭を使わないでいい野球という方に傾いている。それの良し悪し、好き嫌いはともかく、プロ野球いうものが勝利を、優勝を目指すものである以上、そこんところはしっかりしてほしいな、と思うのだ。トラックマンのデータを中継に取り入れたオールスターゲームの中継を見ながら、そう思ったのだ。

 

以上