ウェディング・ケーキはゆっくり運ぶ

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帰り道、100円ローソンに寄る。その前に、一台のワゴン……いや、マイクロバスが停まっていた。なにか後ろに貼り紙がつけられているのが見えた。誰かによる「違法駐車やめろ、殺すぞ」的な警告文かな? と思った。違った。原文ママで引用する。

大型のウェィディングケーキを

運んでいます。お急ぎの方は

お先にどうぞお願いします。

ウェディング・ケーキ輸送中、なのであった。でかいマイクロバスで、ケーキを運んでいるのだ。それも、大型の。しかも、ゆっくり運んでいるのである。後ろの運転手に気を使うほど、ゆっくりと。

どれだけ大きいのか。そんなに脆いのか。それを運ぶのにマイクロバスが適しているのか。

おれにはなにもかもわからなかった。だが、進めケーキはゆっくり刻む、そういう状況があるのだ。そういうケーキを作る仕事があり、運ぶ仕事があり、そのケーキを注文した人間がいるのである。

途方もないな。

おれはそう思った。

それはもう、ダンプカーで運ぶようなでかいケーキというのがあれば、そっちの勝ちかもしれないが、この日産・シビリアンというマイクロバスというあたりが、なんとも言えない妙味がある。そして、走るところを見てはいないが、法定速度よりもさらにゆっくりと走っているのだろう。ウェディング・ケーキが待つ場所へと走っていくのだろう。

想像もつかないな。

おれはそう思った。

ともかく、それがそうである以上、ゆっくり、ゆっくりケーキを運んでくれと思った。決して崩れるようなことがあってはならない。それが人類に課せられた使命なのだ。ゆっくりと走る。これはフォードF-150のワンメイク・レースではない。

あるいは、パティシエが緊急事態に備えて同乗しているのかもしれない。それくらい価値のあるものなのだろう? そうでなくては、貼り紙なんて、しない。

ゆっくり、行くがいい。行くのが、いいのだぜ。