ブラッドリー・クーパーよかったよな! 『アリー/ スター誕生』

 

アリー/ スター誕生(字幕版)

アリー/ スター誕生(字幕版)

 

おれはあまり今どきの、今どきといってもここ十年とかそれ以上のアメリカのヒットチャートには興味がない。ポップスなのかR&Bなのかわからないが、完成度の高い女性歌手が完成度の高いセクシーな音楽を歌う。おれは英語を解さないので、それが女性の力を歌ったものなのか、男に媚びるような曲なのかはわからない。だが、そのどちらにせよ、アメリカのヒットチャートを聴いていても、胸がドキドキするような曲に出会えない。「完成度が高そうだ」という素人の勘などはどうでもいい。おれが曲を聴いてドキドキするかどうか、それだけだ。ドキドキすれば、何も知らないハンガリーの歌手のCDだって買う。

 

ツィピティ・レーリンツ

ツィピティ・レーリンツ

 

……というわけで、おれはレディ・ガガの音楽にドキドキしたことがない。音楽の才能がガチガチな上に、さらにファッションで完全武装しているレディ・ガガ。だが、おれはドキドキしない。理由というものはない。ドキドキするかどうかって、それはもう言語を絶したところにあるものだろう?

が、この映画、『アリー/スター誕生』のレディ・ガガの歌にはドキドキした。とはいえ、それは序盤の、そして、最後の歌だ。彼女が場末のドラァグクイーンたちに混じって歌っていた歌。それはよかった。そして、ポップスターになり、まさにおれが「興味ないな」と思うような歌を歌い……。よくできている。完璧だ。おれは音楽に対するおれのドキドキから、この映画の描かんとしているところを受け取ったようだ。おれは勝手にそう思っている。おれはここ十年とかそれ以上のアメリカのヒットチャートには興味がない。

その点で、アリーを見出した「カントリー寄りのロックスター」(おれにはカントリー寄りというあたりもよくわからないのだが)のブラッドリー・クーパーはすごかった。おれはドキドキした。


Bradley Cooper - Black Eyes - Full Performance (A Star Is Born)

いや、ドキドキしたというのは言いすぎかもしれない。しかし、おれにとっては、音楽とは、ロックとはこっちがわのものよな、と思った。


A Star Is Born: "Shallow"

それに、天下のレディ・ガガが加わるとすごい。

全般的にレディ・ガガはすごくて、完璧なのであって、そこがリアルな感じがする。一方で、彼女を引き立てたブラッドリー・クーパーが落ちていくところがリアルな感じがする。

おれにとってブラッドリー・クーパーというと、『世界にひとつのプレイブック』の人である。おれは双極性障害を患っていて、『世界にひとつのプレイブック』のブラッドリー・クーパー双極性障害を患っていた。

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今回はアルコール依存症とドラッグ依存症を患っている。見事なものである。なんといっていいかよくわからないが、演技に嘘がない感じがする。じゃあ本当のジャンキーなのかというと違うのだろうけど、そこのところがすごい。本当の(カントリー寄りの)ロックンローラーであって、フォーリン・アイドルなのだ。

というわけで、おれは、「レディ・ガガが」というのに興味がない人に対して、「いや、この映画はブラッドリー・クーパーなんだぜ」といってすすめたく思う。そこんところは嘘をついていない。おれは珍しく洋画を早送りしないで、しっかり見た。それは本当なんだぜ、だから、な。