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東京五輪・パラリンピックを今夏に控え、県は、会場となる横浜スタジアム(横浜市中区)付近の中村川で長年不法に係留されている船1隻を撤去する。沈み始め、危険性が高まっているが所有者が不明なため、県が河川法に基づき「簡易代執行」として、7130万円と見積もる撤去費用を肩代わりする。
神奈川新聞(2020年1月11日)
地元民というか、毎日のように横を通り過ぎている人間からすると、「ハマスタ近く」という表現にはやや違和感がある。石川町駅近く、元町近く、だろう。閉店した「いきなりステーキ」近くといってもいい(わかりにくい)。しかし、この船はもっと昔からあった。
男性の出入りが確認されていたが、4年前から無人になり、所有者が分からない状態。船は川幅の半分近くを占める上、沈み始めているため、危険なだけでなく水上交通の妨げとなっている。
神奈川新聞(2020年1月11日)
そしておれは、横浜に引っ越してきて以来、何枚も何枚もこの船の写真を撮った。100枚はいかないかもしれないが、50枚以上は確実に撮っている。いや、50枚というより50回以上、やっぱり100回? 上の写真は2019年12月12日に撮ったものだ。 神奈川新聞に掲載されている写真でもわかるが、かなり船体が傾いている。
では、傾いてない時代の写真をお見せしよう。
2009年3月11日撮影。全然沈んでいない。そして、よく見てほしい。日の丸が掲げられている。そして、白い犬がいる。そうだ、ここには人が住んでいた。犬を飼っていた。当時、気になって調べたら、右翼団体が住んでいるとのことだった。
犬も旗も見なくなって久しい。そして船は沈む。西之橋からの景色が変わる。撤去はやむなしと思いつつも、残念な気もする。残念な気がする一方で、傾いて沈みそうな船の姿は見るに忍びないという思いもある。都市の景色は変わりつづける。変わらないのはおれのような人間だけだ。
中村川には戦後、水上ホテルなどに使っていた船などが多く係留されていたが、現在残るのはこの船のみとなっている。
神奈川新聞(2020年1月11日)