春一番 三千世界に 梅の花

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令和二年、二月。

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(やあ、先生)

おれは先月末から仕事でたいへんな問題を抱えていた。二十年くらい労働というものをしてきて、一番の問題だった。ことが、おれが手を動かせばよいというのであれば、よかった。おれはなんとでも量をこなす、そういう単純さはある。しかし、問題は、おれがだれかに託し、託した人がさらに依頼し……という、おれの手に届かぬ問題だった。しかも、どうしても動かせない締め切りがあった。行き違い、トラブルもあった。いまだにTLS1.0のサーバーってなによ。いや、おれはDTPの人間なんだ。なぜなんだぜ。

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‘内裏’
実家の方でもひどいトラブルがあった。ここに詳細は書くつもりはないが、おれも大量の酒を飲んで頭を空っぽにしなければやっていけなかった。

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‘八重唐梅’
ようやくどちらも一段落したが、その反動でおれは抑うつ状態に、身体の動かなくなる倦怠感に片足以上を突っ込んだ。身体がスローモーションでしか動かない、冗談みたいな状態。冗談じゃないんだ。

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‘滄溟の月’
冗談じゃないから、おれは精神科に通って、手帳持ってんだ。冗談じゃないんだ。

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古今集
それで、おれは午前休などをして(べつに珍しい話ではないのだけれど)、なんとか一日潰れるようなことを避けた。避けたところで三連休になった。もっとも、月曜日は出社予定だけれど。

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‘水心鏡’
土曜日の朝、おれは少し早く起きた。前日の夜、少し早く寝たからだ。十二時間寝た。そういったことはすべて右手首のスマートバンドにより記録され、スマートフォンで確認することができる。どうやって測っているのか、おれは知らない。

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‘桜梅’
おれにはぜんぜんわからないことだらけだ。そしてとても疲れている。だから、レンズ選びを間違えたし、天気も悪い。風も強いし、整髪料も間違えたから髪型も崩れる。

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‘大輪緑萼’
萼が緑色なのをご覧いただけるだろうか。青軸性。

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天気がよくねえんだ。風も強い。街からは忍者たちがいなくなり、公園からは力士がいなくなった。この国にはこの国らしいものがすべて失われて、おれのような底辺の人間が這いずり回るだけになってしまった。

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‘一歳’
おれ、今日で四十一歳。夢も希望もなし。

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‘茶青花’
それにしてもおれはスマートフォンとスマートバンドを連動させて歩行の記録を取りながら、スマートフォンBluetoothを連動させて音楽を聴いている。もう古くなってしまったデジカメを使わず、写真もスマートフォンで撮ればさらなる一体化となる。財布だっていらない。

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私刑野郎。

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‘輪違い’
隣同士で色違いもあったが、だいたいは枝ごとという感じもある。

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‘玉牡丹’
ところで梅というのは枝をぐにぐにと横に伸ばしていくのがいい樹形で、シュッと上に伸びた枝は剪定するのが基本だと聞いたことがある。

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‘八重唐梅’
花弁の縁の色がいい。

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‘珊瑚の鞭’
ちょっと怖い名前よな。

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おまえら、どこに飛ぶ(風に流されて)。

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(あ、先生も飛んでおられる)

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そしてまた居場所に戻られて、まるで周りに関心がないようだ。

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浮かぶ魚の目に涙。いや、魚が見られない池だ。池からは魚がいなくなり、村からは若い衆がいなくなった。メイショウテンゲンから買ってアドマイヤジャスタやステイブラビッシモ、ダノンキングダムなど押さえておきながら、相手にミライヘノツバサがいなかった。それでもおれは京都の準メーンでヒルノサルバドールとメイショウアリソンの馬連万馬券を取ったし、東京の最終でソーラーフレアの単勝とワイド二点、さらに三連複を取った。ちょっとだけ浮いた(ちょっとだけかよ)。

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なんかおれが帰るころになって晴れやがった。

それじゃあ。

バイバイ。