Amazonのお恵みの箱が届いていた。持ってみると、中身が入っていないかのように軽かった。「カードかなにかかな?」と思った。
箱を明けてみておれは唸った。
ASUMEDERU……財布じゃあないか! まじでビビった。というのも、おれは「ほしい物リスト」を公開しているが、なかにはあくまで自分の覚え書きのようにしているものもある。ASUMEDERUの財布もその一つだった。おれが「今」愛用している財布がASUMEDERUのものだというメモだ。いずれ、財布を買い換えようとしたら、どこで買うにしてもASUMEDERUのものだぞ、と。とてもじゃないが、お恵みいただける金額のものじゃないぞ、と。
それが贈られてしまった。
そうだよな、こういう包みに入っているよな。
うお、本当に財布や! ASUMEDERUの財布や!
……と、ASUMEDERUとはなんぞや、とお思いの方も多いと思う。正直、おれもよく知らない。
おれはそれをどこで買ったのか? どこかのショッピングモールだ。それはあまり覚えていない。だが、どのように買ったのかは覚えている。店でいったん見て、あるいは手にとって、いったん通り過ぎた。通り過ぎて、しばらくして、一緒にいた女に「あ、おれやっぱりさっきの財布買います」と言って戻って買ったのだ。内側の鮮やかなエメラルドグリーン、そのことを妙に覚えている。というか、日記にも記されている。
買ったのはたまプラーザだった。ただ、財布についてはずいぶんあっさりと書いている。
よい財布があったので買ってしまう。外は木目っぽい革財布。
これが何年前の日記だ。10年だ、10年前だ。財布ってふつう、何年使うものだ? 10年は長くないか。それでも、その財布は10年もった。正直、2年くらい前から「そろそろ買い替え時かな?」と思っていた。思っていたけれど、使っている財布以上のものに出会えず、出会えたとしても買えるものでもなく、ここまできてしまった。そろそろカード入れもゆるくなってきて危ないし、内側の色も褪せてきた……。が、外側の革は渋みをましてピカピカだ。糸のほつれもほとんどない。まだ使える。使えるはずだが……。
が、あらためて見てみれば、やはり貧乏人の財布としても限界よな。さすがに色も褪せる。買い替えるのは2年遅かったといってもいい。もちろん、あと2年使ってもよかったかもしれない。
が、これを機に新しい財布を使い始めることにする。当たり前だ、「もう限界かな」と思っていた財布と、まったく新しい財布があるのだ。おまけに、同じメーカーのものだ。おれは10年使った経験から、このメーカーを信じている。おれはバッグについてTimbuk2とDeuter、靴においてMerrellを信じている。財布についてはASUMEDERUだ。
さあ、新しい財布に金を入れ替えよう。カードを移そう。……なんだこりゃ? 映画の半券? 行きもしないネットカフェの会員証? そんなものは捨ててしまおう。クレジットカードも2枚リストラだ。月は一月、新しいお財布を使い始めるのにちょうどいい時期ではないか。財布は革にかぎる。10年使えるメーカーのものならなおさらいい。
あらためて、良いものを、ありがとうございます。