ひさびさにSF 藤井太洋『公正的戦闘規範』を読む

 

たぶん、ひさびさにSFを読んだ。『公正的戦闘規範』。短編集。正統派、現代的、そして日本のSFだ。日本のSFだけれど、舞台が日本とは限らない。表題作の舞台は中国だ。そして話の中心になるのは漢民族ではない。ハイテクの戦争、テロリズム、そして中国、多民族。現代的、近未来的。悪くない。あらためて表紙の絵を見ると、おおそうか、と思う。

して、収録作、どれも悪くない。

(おれの「悪くない」は「いい」よりも、「かなりいい」に近い)

悪くないのだけれど、短編だな、と思ったのである。もっとこれを読みたい、と思ってしまったのである。それは短編にとって褒め言葉かどうかわからない。半々だ。もっと読みたいという魅力がある。でも、短編としての切れ味に圧倒されなかった、ということでもある。距離適性というものはある。

というわけで、この著者の作品については長編を読みたい。そう思う。というか、『オービタル・クラウド』持ってるじゃん。持っていて、積ん読になっているじゃない。じゃあ読むかな。

というか、なんか、最近、SF読んでなかったな、と思った。話題作が出ると気になってタイトルなんかはチェックするけれど、それが図書館にまわってくるまで待つことになる。おれはSFが好きだ。好きだが、最新のものを読んでいない。色褪せない名作というものがある一方で、最新の技術、思想、社会が反映されたものも魅力だ。この世界の先端を走り、さらに先に行くのがSFだ。新しいのはいい。

とはいえ、新しい本を買う金と、置き場がない。貧乏が悪い。よくわからないが、そういう結論になった。

 

おしまい。