映画『オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体』は、あらすじが面白い

 

 

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ミンスミート作戦(ミンスミートさくせん、英: Operation Mincemeat)は、第二次世界大戦中の1943年にイギリス軍が実行し、非常な成功を収めた諜報作戦(欺瞞作戦)であり、ナチス・ドイツの上層部に連合国軍の反攻予定地はギリシャサルデーニャを計画していると思い込ませ、実際の計画地がシチリアであることを秘匿することに成功した。

これはドイツ側に、彼らが全くの「偶然」から、連合国軍側の戦争計画に関する「極秘書類」を入手したと信じ込ませることで成し遂げられた。実は極秘書類はこの作戦のために用意された死体に固定されて、スペインの沿岸に漂着するように故意に投棄されたものであった。作戦の概要は、1953年に出版された書籍 The Man Who Never Was(『存在しなかった男』、筑摩書房刊行の日本語訳では『ある死体の冒険』)において大部分が明らかにされている。 

 

この作戦を描いた映画。というか、あらすじというか、「ミンスミート作戦」自体の面白さが映画に勝ってしまっているという印象。なにせ、死体に偽の機密書類を持たせて浜辺に打ち上げさせて、それをうまいことドイツの手に渡るようにするのである。よう考えるよな、という話だ。

 

ところで、死体といえば戦時中だからいくらでも手に入るものと思っていたが、溺死体でなくてはならない。これはロンドン市中から確保した。そして、欺瞞工作を見破られないためにその溺死体の設定を作り込んでいく。

 

彼らは伝説を創り上げるために、パムという婚約者まで創り出した。マーティン少佐は、パムの写真(実際はMI5の事務職員)、2通のラブレター、宝石店のエンゲージリングに対する請求書を携帯していた。彼はさらに父親からの仰々しい手紙、事務弁護士(ソリシター)からの手紙、Lloyds 銀行からの79ポンド19シリング2ペンスの貸越金に対する督促状も持っていた。また、ロンドンの劇場のチケットの半券、海軍軍人クラブでの4泊分の勘定書、Gieves & Hawkes 社の新しいシャツについての領収書もあった(この最後のものはエラーであった。これは現金払いに対するものであったが、士官が Gieves に現金で支払うことはあり得ない。しかしドイツ軍はそこまでは知らなかった)。これらの書類は正規の文具または請求書綴りを使用して作成された。

 

映画では「パム」も大きな役割を果たしていた。が、しかしどうだろうか、なんかもう、Wikipedia読んでいればそれでいいかという気にもなってくる。そんなところ。

 

さて、おれはタイトルでも本部でも「面白い」という言葉を用いた。これはいささか不道徳というか、現実の戦争に対して使うのは面白くない言葉には違いない。もうちょっと適当な言葉を探すとすると、「興味深い」あたりかもしれないが、やはりおれが不道徳に面白がっている面は否めないので、自戒を込めて「面白い」と書いてしまう。

 

人の死ぬ戦争、人が人を殺す戦争のなにが面白いのか。それはルールなしで、人間が敵を殺し、屈服させるために、なんでもやろうというところだ。やってしまうところだ。「戦争目的規制(jus ad bellum)」? 「戦闘経過規制(jus in bello)」? ジュネーヴ条約? しかしまあ。

 

そこに奇想天外な兵器が生まれ、戦術が生まれ、ミンスミート作戦のようなとんでもない策謀も出てくる。人間の叡智が結集されて、最悪に愚かなことをする。そのろくでもないところが興味深い。そして、人間の叡智が結集されて、最高に善いことをする機会があまりない、というのも事実ではないか。そうでもない、人類が協力して地球を守ったよ、というには、侵略的な宇宙人にでも来てもらわなければならないのだろうか?

 

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