三十一年越しのBECKのLoserに泣く

Kアリーナ横浜。

 

NANO-MUGEN FES.2025 In YOKOHAMA

 

NANO-MUGENフェスティバル参戦。

 

目的はなにか? アジアン・カンフー・ジェネレーションとくるりの同学年組が一緒に出るからか? 違う。ベックだ。

 

ラジオでフェスの宣伝をしていて、「アジアン・カンフー・ジェネレーション主催の~」で「くるり」と聞こえたときはピクッとなった。ただ、くるりはくるりで行けばいいし、おれはアジカンもたくさんプレイリストに入っているが、最近の曲はあまりしらない。が、そのあと「ベック」と言いやがったのだ、ラジオの宣伝が。

 

おれはそれを聞いて、「ベックを横浜で見られるの?」と、ガクガクになってしまった。ガクガク? 表現が変かもしれない。でも、ドキドキともワクワクとも違う感覚だ。これを逃したら一生ベックを見られないで終わるかもしれない。そう考えると、ガクガクしてしまったのだ。

 

BECKが誰だって?

ベック (歌手) - Wikipedia

 

Wikipedia読んでこい。そんで、Loser聴いてこい。

youtu.be

 

三十一年の話だ。三十一年前のおれは、この曲が深夜の「BEAT UK」で流れるのを見て、心を奪われた。「Soy un perdedor. I'm a loser baby, so why don't you kill me?」。これはおれの歌だと思っていた。でも、三十一年前、十五歳のおれはまだ心底負けていなかったかもしれない。まだ逆転があるかもしれないと思っていた。

 

それがどうだその後の人生、負け犬度は高まって、極まった。本当に極まった人間は一日一万二千円くらいのフェスには行けないかもしれないが、そうなのだからしかたない。ちなみに、障害者手帳で現金二千円のキャッシュバックがあった。

 

まあいい。ベックについてはいろいろ書いてきたので、勝手に「BECK」なり「ベック」で検索してくれ。ともかく、三十一年前、洋楽に夢中になっていたおれがファンになり、その後のアルバムもすべて買い、「Jack-Assは名曲だけど、Burroバージョンもいいよな」とかいうくらいは好きで、それでもなんかやはり最初と二枚目のアルバムがいいなとか思いつつも、『Sea Change』が結局一番好きになったりして、まあともかく好きなのは好きなんだよ。

 

そんなベックをさ、あのさ、三十一年経って、見る機会があるかもしれないとなって、まあそれはもうフェス申し込まなきゃいられんだろ。三十一年は長い。ベックが歌手をやめてしまっている可能性も高いし、おれが死んでいる可能性も高い。だが、そのどちらでもなかった。スウェードもそうだった。あんなに早死しそうなブレット兄さん、今もキレキレだった。

 

というわけで、来てしまったのだ。もちろん、朝から来てしまった。しまったというか、そりゃいろいろみたいだろ。アジカンもくるりも好きだろう。

 

でも、ここではベックの話をさせてくれ。いや、その前に、この日最初のアジカンか。最初に演った曲が「Loser」だったのだ。これはすごい! と、思った。そして、サビの部分を字幕付きで流して、「セトリは知らないけど、もしもベック先生がやったら一緒に歌ってください」いいよるんよな。日本語訳部分はよく聞き取れなかったけれど、サビはみんな覚えるやでな。

 

で、いま検索してみたら、昔から日本語版を演っていたみたいだ。

Vo.ゴッチの日記

2012年版の歌詞が本人のブログに残っていた。今日もこんなんだったのかな?

 

で、いろいろあって、ベック先生(と、後藤正文が言っていたので真似する)の登場。なにやらステージにスモークがかかって、ギターをかかげたあのポーズ(どのポーズ?)で登場、最初の曲は「Devils Haircut」だ! もうすげえ! 完全にステージを、会場を支配している! 圧倒的だ! そしてベック先生、すげえ動く、躍動している! こんなに動くのか! 何歳だ! まじでビビる! 席は遠目なので、今までのアーティストはモニターを見がちだったのに、小さな生のベックから目が離せない。ギターも弾きまくる。ガンガン弾く。ボーカル&ギターの岸田繁くらいガンガンやる。かっこよすぎる。

 

もうね、なにもかも圧倒的なんよ。はっきり言って、こういう言い方はどうかと思うけれども、もうこの日のステージで格違いなんよ。会場の盛り上がりも異常なくらいなんよ。

 

と、まあ、「すごい、すごい」となった。これがライヴ仕様のベックなのかと。こんなにロックなのかと。この感じはNulbarichに似ているなとかふと思ったりした(そしてJQの動きはベックっぽいなとも)。そんなんでもうガンガン盛り上げていく。……けど、正直、おれはベックのアップテンポな曲よりも、ちょっと静かな曲も好きなんだよな、とか思ったりしたら、「Lost Cause」やってくれたんだぜ。弾き語りだ。でもな、なんか「上のパート」みたいなアレンジでな、まあそれでも満足なのやで。

 

そして、最後から二番目にな、アコースティックギターのソロからのな、ルーザーなんよ。もうね、超盛り上がる。そしてな、もうな、なんか泣けてきたんだよ、おっさんは。三十一年経ってな、まだ負け犬だって歌えているんだぜ。そんでな、こんな大会場の人間がみんなで「おれは負け犬」って歌ってるんだ。こんなに負け犬がいるんだぜ。たまらないじゃないか。もう「I'm a loser baby, so why don't you kill me?」の大合唱がな、もうな、歌っているとな、涙がこぼれだして止まらなくなりそうでな、正直困った。こんだけのことは、音楽聴いていてなかなかあるもんじゃない。それだけの歴史がおれのなかにはあって、もうかなわんかった。

 

 

というわけで、もう、悪いが、今日はベックの話だけにさせてくれ。おれもわりと死なないし、ベックも死なないどころかセクシーダンス披露してむっちゃパワフルでかっこいいし、圧倒的だし、それでももうおれはもうこれ以上「死ぬまで見ないのだろうか」とか、「見られるの?」とガクガクしてしまうアーティストもいないし、なんというか、成仏したような気持ちになった。ベックマジヤバイ。ベッククラスのアーティストマジヤバイ。おかしい。ちょっとどうかしている。かっこよすぎるだろ。ああしかし、なんだろうか、去年だったか一昨年だったか、アコースティック編成で来日してたと思うんだけど、まあ、そっちのほうがおれ好みの曲が多かったのかな、とか思いつつも、でも、今日は、今日で、最高やったやで。シーズインニューポリューションやで、E-Proのナーナーナナナナナーって頭にこだまさせつつ寝るやで。ベックやばいやで。もうボキャブラリーも破壊されてしまった。ほかのアーティストとかの話はまたべつの日にするやでな。

 

 

Mellow Gold - Beck

Mellow Gold - Beck

  • アーティスト:Beck
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