『バッド・サンタ』監督:テリー・ツワイゴフ

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 思ったよりアナルセックスしていなかったな、というのが最初の感想であった。もっとアナルセックスばかりしているのかと思っていたのだ。ずいぶん前のテレビブロスで、そんな風に紹介されていたような気がするのだが。……などというところが感想文の頭に出てくるあたり、「まあまあ面白かった」映画であった。
 その面白さは、やはりビリー・ボブ・ソーントンに負うところが大きい。俺はコーエン兄弟の『バーバー』と、ブルース・ウィリスと共演した『バンディッツ』しか観ていないが、ビリー・ボブは大好きな役者だ。今回彼が演じるところのトラウマ持ちでアル中の、デカ女好きのアナルファック好きという役柄、これがまあなかなかよかった。ちょっと感傷的すぎるところもあったが、ね。
 その他の登場人物についても、現代アメリカ人の戯画化というか、というところが大きいのではないか。相棒の黒人の小人なんかは流石に存在感が大きかった。スーパーで問題を起こした後、責任者に向かって「有色人種で‘小柄な人’を‘不当解雇’したらどうなるかわかってるのか」って脅すようなブラック・ユーモアは好きだね。ただ、まあ登場人物が型にはまりすぎているような気がしないでもなかった。
 ストーリーの方もだ。まあ、設定上のおかしさはおおむねクリアしてると思うが、ラストあたりはどうだろう。この監督、これまた俺の好きなスティーブ・ブシェミが出ていた『ゴーストワールド』の監督でもあるらしいが、あっちの終わりに比べると、こちらのラストはいまいちと思う。
 しかしまあ、こんな残暑の季節に観てどうする、というような気もする。クリスマスあたり、ちょっとブラックユーモア気味なのでも観たくなるような人にオススメ……でもないか。これもまあ、クリスマス映画の範疇だろう。もうちょっとアナルファックしてれば話は別だったかもしれないけれど。