『グエムル-漢江の怪物-』を観る

 もう、けっこう前の話題作といったところだろうか、『グエムル』を観る。今年、映画館で『スノーピアサー』を観て、「あれ?」と思い、その敵討じゃあないけれど『殺人の追憶』を観て「おお!」と思い、さて『グエムル』だ。ちなみに、勝手に公開順を『グエムル』→『殺人の追憶』だと勘違いしてた。理由は知らない。
 で、この『グエムル』。まあ文字通り怪物(韓国語だとその通りらしい)が出てきて人を襲ったりするし、とうぜん人が襲い返したりする話だ。正直なところ、おれは特撮もの、怪獣ものというのに特段の関心がない。ないのだけれども、この「グエムル」は、怪獣というには手頃なサイズ、いや手頃というには大きいが、なんというかリアルな中形といったところで、なんとも見事に動いてくれて、こりゃあ観ていて目が離せないわ、と思う。
 目が離せないといえば、おれには映画の画面の話などわからないが、人々や「グエムル」が縦横に動きまわる、そういうところが上手いなぁと思った。見上げたり、見下げたり、走ったり、止まったり。なにかよくわからないが、飽きさせない動きというものがある。それでまた、見せたり見せなかったりというのも上手いなぁと思った。『スノーピアサー』じゃ感じなかったのに、なんでだろうね。『スノーピアサー』は列車内っていう限られた空間なのがよくなかったのかな。本作も閉じ込められた空間というのもあるけど、そればっかりじゃなかったしな。
 政治色みたいなのは、まあそれなりにあったかなという。反米的韓国映画……キム・ギドク? 『受取人不明』? なんかニュアンスが違うかな。よく覚えてないだけなんだけれど。まあそれにしても韓国映画というのはエネルギーがあって、骨太だ。いや、偏った韓国映画ばかり(つーかキム・ギドクに一時期はまった程度だが)観ているだけで、恋愛映画とかそういうの知らんしな。けど、恋愛も骨太かもしれない。フラれた男が骨を持って追いかけてくるとか(『哀しき獣』のミョン社長ね)。まあ、それはないか。
 ま、そんなんで、『グエムル』、ともかく目が離せない一作。もし観ていない人がいれば、今更でも観といて損はないんじゃあないでしょうか、というあたりで。

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