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茹でガエル壊れ行く冷蔵庫おれたち

茹でガエル - Wikipedia

多くのコンサルタント活動家などによって[1][2]自然科学上の実験結果であるかのように語られているが、実際には、カエルは温度が上がるほど激しく逃げようとするため[2][3]疑似科学的な作り話[4]が広まったものである。

昨日書いたように、おれは冷蔵庫を買い換えた。前に使っていた冷蔵庫が壊れたためだ。具体的には肉が、牛乳が十分に冷やされず、腐った。これでは生活できぬと、月賦で新しい冷蔵庫を買った。

そして、新しい冷蔵庫が機能して一日経ち二日経ち、ビール類がキンキンに冷えていることに驚いた。おれは前の冷蔵庫が完全に壊れる前、一年以上だろうか、ビール類はいったんグラスとともに冷凍庫に入れる習慣がついていたのだ。べつに凍らせるわけじゃあない、キンキンに冷えたビールを飲みたいというだけのことだった。家庭でそれをするには、推奨される方法ではないかもしれないが、冷凍庫にいったん放り込んで、着替えだの食器の洗い物だのして 、それから飲む。そういう習慣になっていた。どっか店で飲むような冷え冷えのビールは、そうじゃなければ飲まれないと、普通に思っていた。

ところがどうだ、新しい冷蔵庫は、冷蔵庫から出しただけでキンキンに冷えている。べつに冷却度を「強」にしているわけでもない。それなのにだ。驚愕だ。これが普通なのだ。つまりおれは、冷蔵庫の冷やす力がだんだん弱くなっているのに気づかず、それが普通だと冷凍庫放り込みをやっていた。経年劣化しているのに気づかなかった。それが限度を超えて、牛乳を腐らせるところまできてようやく気づいた。

同じように、おれたちは、毎日毎日劣化している。いや、今育ち盛りの子は別だろうが。しかし、人生の下り坂に入ったおれは毎日毎日冷蔵庫のように劣化しているのだ。だが、それに気づくのはむずかしい。おれの身体が、おれの精神が、老いて鈍くなっていくことに気づくのはむずかしい。気づいてみればカエルは茹でられ、ビールはぬるくなっている。そのとき後悔したって遅いし、人生は冷蔵庫のように買い換えられない。さあ、どうする? いや、ほんとうにどうしようね……?