欄干、百メートル

 歩いて土曜出勤。石川町商店街を抜け、突き当たると濡れ地蔵。右折して橋を渡って関内へ。そして今朝、その橋の半ばに一台の自転車と、大きなバケツが置いてあった。バケツの中を覗いても、ただ水が入っているのみ。自転車には、袋にしまわれた釣り具らしきものが立てかけてある。持ち主の姿は見えない。この橋の上から釣りをして、あきらめてどこかへ行ってしまったんだろうか。歩を進めると、橋の欄干の下に、二匹の魚の姿があった。バケツから逃げ出したのだ。ちゃんと、水のある方へ。泳いでいた川のある方へ。俺は朝から胸が潰れるような思いをした。