たまには夢を見る

 ひさびさにちゃんと覚えている夢を見た。思わずに日記に書いたが、あまり面白くないので消した。しかし、あらすじを書いておけばリプレイできる。夢は現実より覚えやすい。
 住んでいるアパートの壁が単なる引き戸のようになっており、たまたま壊れて開いてしまい、隣に住む女の子と挨拶する。部屋に誘われるので、お邪魔する。広くてきれいな部屋がいくつかある。ところどころに絵が掛かっている。女の子は絵を描く学生のようだ。そのままその子の学校へ行く。作品発表展のようなものが行われている。歩くスペースも無いほど様々な作品がある中、部屋の片隅に、他の作品のように隠れるようにして彼女の絵があった。ちょっと周りを見て、また目を戻すと彼女が絵を片づけている。部屋で見た彼女は眼鏡にノースリーブに短パンという姿だったが、眼鏡はなく何やらおしゃれな格好をしており、本人かどうか自信が無く、声を掛けられない。
 こんなところだ。本当はもっともっとディティールもあり、登場人物もある。ここまでしっかり覚えている夢を見るのは久々だ。久々だったせいか、明晰夢(夢を夢と自覚する夢)にならなかった。俺はけっこう明晰夢が得意な方だ。もっとも、明晰夢でしようとすることは一つなので、こういう風に夢の展開に流される方が面白いかも知れない。
 少しディティールをメモしよう。彼女の絵は陶器かタイルのようなものに描かれていた。白地に鮮やかな色彩の港の風景であった。その色合いや質感は、かつてどこかの美術館でやっていたテイトギャラリー展で見たものだ。作者の名前は忘れた。構図は、俺の部屋にあった誰か有名な画家の複製画だ。ベッドの横にあって、十数年見続けた絵だ。その作者も知らない。
 目覚めたときの感想も書こう。俺はただただ恋がしたくなった。