K-1の感想

 感想、言いつつも、これは自宅にパソコンを持って帰っていたので、見ながらメモしたもの。その後、一切スポーツ紙や関連サイトを見ておらず、かなり生の感想。量の問題で日曜に貼りつける。

マイティ・モーガオグライ・ゲーンノラシン
 これには恐れ入った。私はあの跳び蹴りをスローモーションで見たとき、ただただムエタイ五千年の歴史に恐れ入るのみであった。まさに恐れ入谷の鬼子母神である。それにしても、モーをハントになぞらえた自分は愚かであった。モーは我が子と甥っ子を含めて、多くの子どもを養っている。彼には守るべきものがあった。それが、ファイトに出た。重量差を活かしプレッシャーで追い込めばいいところを、じっくりと構えてしまった。これが、マネーマネー言うハントだったらどうだろう。後先考えずにガンガン殴りに行ったはずである。もちろん、それがガオグライの一撃を演出するに終わった可能性もある。そのくらいガオグライのキックは素敵だった。

レイ・セフォー対武蔵
 退屈な試合だった。セフォーも全盛期を過ぎた。ノーガードもにやけ面も、もう食傷気味だ。唯一の見どころはセフォー股間攻撃。スローで見ると、セフォーはじっくり武蔵の股間を見ていたように思う。

ピーター・アーツフランソワ・ボタ
 決勝トーナメントにしては珍しく、ダイジェストもダイジェスト、一分も放送以下である。それもこれも、アーツ肉離れという。煽りフィルムを入れておいて、肉離れでは申し訳ないという判断だろうか。

レミー・ボンヤスキーアーネスト・ホースト
 かつてのホーストは、ボンヤくらい細かったのだっけ。同じ判定結果といえど、武蔵の試合よりは密度が濃かったと思う。作戦だろうか、3Rからボンヤが仕掛けたように見えたが、簡単に崩れないホーストK−1の歴史の中で、見事な体幹を作り上げたものだ。

ガオグライ・ゲーンノラシン対武蔵
 2Rは省略。ガオグライは顎を少し上げ、負けん気の強そうな面構えである。例えるなら、馳星周の小説の、歌舞伎町で成り上がろうとする若いチンピラ。Vシネマや香港マフィア映画が似合いそうな男である。それに対して、武蔵は何に例えられるか。アナゴさんである。アナゴさんと言えば、海山商事で働く一介のサラリーマンであり、危険の似合わぬ男だ。この両者が戦えば、どうなると思いますか。普通、血気盛んなチンピラの一睨みで終わりである。ところが、アナゴさんも侮れないんだなぁ。言うなれば、大物組長たちにこづかれ、泥を食いながら這い上がってきた組長だったのだ。その重圧に、はじめは舐めてかかったチンピラも震え上がる。そういう試合であった。いや、単に3Rにはガオグライのスタミナが切れていたのだけれど。

フランソワ・ボタレミー・ボンヤスキー
 さすが過酷なトーナメント、開始と同時にさんざん殴り合ったような両者である。と、思いきや、3Rからの放送であった。動きのないボンヤ相手に、「ハン、フンッ!」とボタの声が響き渡る。「ボタと武蔵の決勝かよ?」と思った刹那、ボンヤのいささかスローモーなハイがボタの顎先を掠める。ボタ、残念無念の判定負け。単なる小遣い稼ぎかと思われていたが、いつの間にやら有効なローキックすら打てるボタは立派だ。

レミー・ボンヤスキー対武蔵
 私は格闘技大会の会場などに行ったことはないが、試合を見るならテレビの方がよく見えるのではないかと思う。ただ一点、会場の空気というやつは、現場でしか味わえないものだろう。さて、この試合、開始早々ボンヤのストレートが武蔵を撃つ。決勝戦だ。普通大盛り上がりになるはずでしょう。ところが、テレビで見る限り、あまりテンションが上がってないように見えたのだ。もしかして、最初から「疲れ者同士の戦いだろ?」という空気だったのだろうか。よくわからない。さて、私はビデオを録っている。プライドやK−1などのテープがあり、試合開始から終了まで、録画・停止を繰り返すのだ。そのビデオが、この試合のレミーがくるんと回って場外へ落ちたインターバルで、見事に終了したのである。そして、私はそれを巻き戻すに任せ、何をしているかと言えばこのメモを記している。テレビでは2つめのエクストララウンドだ。アナウンサーが「出ろ武蔵!」というが、なかなか出ない。うむ、ある意味とてつもない試合だ。あ、武蔵、倒れた。スリップ?試合終了。ひえ、ドロドロや。判定、ボンヤの勝ち。あまりに武蔵すぎる展開で、武蔵優勝かと思ったけどな。ボンヤのスタミナは大したものですね。以上。

総括:え、一番盛り上がったの、ガオグライのキックか。つーか、ノックアウトはそれだけ?あ、番組最後のリプレイもそればっかじゃん。俺みたいなミーハーは、やはりバカッと直撃してドターンと倒れたりするのがいいな。やってる選手にしてみりゃ溜まったもんじゃねぇだろうけど、俺みたいなのが多いからK−1はここまで盛り上がったんじゃねえのかな、とも思う。

追記:スポーツナビとかそこら辺見てみたけど、セフォーホーストが怒り心頭だったhttp://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200412/04/index.html。なるほど、私などは退屈な武蔵の試合などじっくり見ないからわからないけれど、言われてみれば判定を素直に見すぎていたかもしれない。そういえば、職場の人の子が「なんでK-1の結果は新聞に載ってないの?」と聞いてきたという。産経新聞はどうなのか知らないけれど、確かに日本人選手の試合で日本人審判、ジャッジってのはおかしいな。もっとも、完全スポーツ化が面白いのかどうかわからないけれど。