『御緩漫玉日記』桜玉吉

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 今日の午前中職場に届きました。昼休みに読みました、急いで昼飯を食べて。一時を過ぎるころ読み終わると、なぜか顔が赤くなっていて困惑したものです。
 私も多くの桜玉吉読者と同じく、ファミ通に連載していた『しあわせのかたち』からファンになったものですが、これだけ作風が変わっていくのを目の当たりにしている漫画家というのも他に思いつきません。そして今作、ついに到達したのは「おっとりエロ」の世界、実に素敵です。
 しかし、そんな作風の変化を知ったのも今日の昼休み。だいたい私は、漫画を頻繁に買っている頃からコミックビームを意識的に避けている部分がありました。それは、玉吉の単行本を手に取り、まとめて読みたいという意図からでした。したがって、今回などは特に驚くべき変化といいましょう。基本的なテイストは一緒だけれど、実に深く斬り込んでいる。ついに妻や家族、離婚の話まで出てきた。ちょっと大丈夫なのか、と今まで以上に思わざるを得ない。そんな全体を覆う濃密な不安なトーンには、かなりのキック力がありました。一話だけ挟まれた「O村DVD話」と「読もう!コミックビーム」が、ふと現実に戻してくれるような、そんな効果があったくらいだと記しておきましょう。
 そして、エロについて。私は常々「寝取られ話」好きを公言してはばからないわけですが、そこには覗き見趣味、観淫症的な要素も多分に含んでいるのではないかと思います。そして、この点において、ひょっとすると作者の趣味に近いものがあるのかもしれません。隣の部屋で繰り広げられるセックスの声……、まさにこの作中にあったシチュエーション、そういったものにエロティシズムを感じるというわけです。
 まだまだ書きたいことはあるのですが、この漫画は今までの玉吉作品と同じく、何度も何度も読み返すことになるでしょう。したがって、またいつか気が付いたことを書いていくことになるでしょう。しかし、このボリュームはたまらない。ビーム誌には悪いけど、待ちに待って買ったかいがあるというところです。