ピザまんが俺の腹の中で腐ってる

 上に書いたように、起きたときは食欲が無かった。しかし、関内まで出てきてコンビニで日刊スポーツを買ったときにふと腹が減ったのを感じてピザまんをついでに買って会社まで持っていって食べたのだ。それが昼あたりになってからやたら胃のあたりが気持ち悪くなってそれでも一応栄養はということでコンビニでおにぎり三つ買って食ったのだけれど、今(午後四時)になって体調が最悪だ。頭にはモヤが掛かってズキズキするし、胃はピザまんとおにぎりが混ざり合って隙あらば食堂を遡って外の世界に出ようとしているし、腸は働く気がないらしくベルトコンベアで運ばれてきた未消化部品を居眠りして垂れ流したいみたいだ。俺の冷え性のただでさえ死人みたいな手はますます死後の姿になって、俺は心底寒くてコートまで着ているありさまだ。俺はこれは寝不足でないと思う。熱だ、熱発だと熱を測ってみたら平熱よりちょっと高いくらいだ。これは全部胃のせいなのか、そんな種類の悪徳が私の血と肉を蝕むのか。俺は薬を分けてもらい(俺の薬の入手先は全て「人からわけてもらう」だ。医者に行く金がないからだ)、それを飲んでなんとか家に帰るくらいの、せめて家に帰るくらいの状況にしなければならない。俺はもう仕事もできないけど、乾いた唇で愚痴を言う気力もないけれど、せいぜい日記を書くことはできる。しかしいったい、なんなんだいったい、この悪寒は。思えば月曜には熱発してた。睡眠妨害との二重攻撃が今来たのか。地獄が到来したのか。地獄の季節とはいつのことだったっけ?
 追記:もう五時か。久々に嘔吐した。胃の中で暴れているピザまん氏に出ていってもらおうと、意図的に吐いた。俺は‘てんぎゃん’ではないから自由自在には吐けないけれど、便器に顔を向けていると(かなりきれいなトイレだけれど)蠕動というのか、ぐいっぐいっと登ってくる胃の中のご一行様。はたして出てきたのは、ピザまんのどろどろではなく、あくまで透明の胃液と昼に食べたおにぎりの海苔がほんの少しという面々であった。思えば俺は中学のころ教室で一回だけゲロを吐いたことがあった。体調は悪くて、ちょっと油断してたんだな。けど、そのゲロというのが素敵な代物で、全く透明の胃液に錠剤のかけらが一つ二つ浮いているというようなもので、それを見た級友から「お前は未来人の食生活をしているのか」と言われた覚えがある。こんなことを思い出すのも多少吐いて楽になったからだ。リステリンで口の中もすっきりだ。もうちょっとしたらもうちょっと快復して外に出られるだろう。外はきっと寒いだろう。
 再追記:よし、五時四十分。そろそろ帰ろう。こんな中で、一枚写真をスキャンして印刷用に画像加工した俺は偉い無職だ。こんなに勤労する無職はいない。ところで水下痢は一種射精のような快感がありますね。これが稲垣足穂先生の言う「A感覚」なのでしょうか。本当は明日、根岸の山の上のトウショウファルコが居るところの公園の梅園の写真など撮影に行くつもりだったのですが、全てキャンセルです。帰り道、コンビニからりそな銀行の口座へ入金しなければ週末の競馬もアウトです。そういえばマイネルセレクトが取り消しですか。マイネルセレクトも今、こんな風に苦しんでるのかなぁ。お互い頑張ろう。俺はドバイ行かないけどな。