こぶ平はどこへ行った?

http://www.sanspo.com/geino/top/gt200503/gt2005032204.html

林家こぶ平改め九代目林家正蔵(42)の襲名披露興行が21日、東京・上野の鈴本演芸場で賑やかに幕を開けた。

 パレードやらパーティやらいろいろ報じられていたが、いよいよこぶ平あらため正蔵となったようである。ニュースで知ったが、祖父が七代目正蔵で、父三平が早世したため、一代限りでよそへ貸して、孫の代で帰ってきたとか。落語の世界などにはとんと疎いが、名前を貸したり帰ってきたり、梨園とともにさっぱりわからない。その割に、狂言なんかじゃお家の方が裁判で負けていたりと、ますますわからない。和泉元禰は今後「自称」付きになるのかしらん。
 で、さっぱりわからない世界の住人ながら、林家こぶ平はよく知っている。よくバラエティ番組でヒロミに蹴ったり殴ったりされていたからだ。ヒロミに蹴ったり殴ったりされながら、それほど面白いことを言わないデブ、という印象である。それが、自分の国に帰ってみれば、クラウンジュエリーなのだから驚きだ(サンスポは‘最近流行の企業買収対抗策にかけて’などと遠回しに書かないように)。そして、襲名が近づくにつれ、その家柄、金持ちっぷり、ボンボン育ちっぷりを語るようにもなってきた。ジャズが趣味で膨大なコレクション?大したもんですね、すごいすごい。単にヒロミに蹴られたり殴られたりするデブじゃございませんのね、と。
 実のところ「本業の方で大変努力していて、めきめき腕を上げている」。そんな話を数年前から目にすることはあった。テレビへの露出も少ないし、そうなのか、大したもんだ。……というふうに、ちょっと好感度が上がっていたのだけれど、なんだか襲名前後の報道で一気に下がってしまった。それがどれほどのものかよくわからない世界の王子様。パーティの挨拶でヒロミが「こんなにエライ方とは……」と冗談めかして言っていたけれど(冗談には聞こえなかったのがヒロミの悲哀なのだけれど)、ああいう風に世間に感じさせたい、という感じがして嫌なのだ。こぶ平改め正蔵も、それを取り囲む落語の世界も。まあ、テレビと離れたところへ行ってしまうのならばどうでもいい。ただ、文化人面して出てくるのだけはやめてほしい。そんな感じがする。