東京優駿のこと

 とにかく、久々に馬券が当たった。これが引っかけたとかじゃなくて、予想通り(「本線は一着ディープから二着三着インティライミシックスセンス。」)なのだからたまらない。やはり予想前の情報は多ければ多いほどいいと、久々に競馬新聞を買ったことも踏まえて実感した次第。
 
 馬券の話はここまでで、ディープインパクト。なんと言っていいかわからないけれど、凄かった。ゲート前のアナウンサーも言っていたが、それまで暴れていたのが、ファンファーレと大歓声で逆に大人しくなったのが不思議だ。擬人化が好きな人なら「セレモニーはどうでもいいから、早く走らせろ!」と馬が言っていたと表現するかもしれない。そして、安全策の大外からスパッと差した直線。レース自体はその名の通りインパクトがあるが、走り自体はそれとは裏腹に何とも軽やか。蹄鉄の減りも遅いという。そして、武豊のレース後のインタビュー。ここまで堅くなっている武豊も珍しいと思わせる。豊がこれまで乗ってきた名馬、制してきた大レースを思えば、この馬の存在の大きさが窺える。まだ、決して強力とは言えない同世代を破っただけだが、この先の期待も大きく膨らむ。
 ダービー自体の馬券の売り上げは前年比マイナスというが、一日を通しての売り上げはアップ。桜木町の場外、隣の窓口で「テレビで芸能人が言っていた買い目を買いたいんだけど、ぜんぜんわかんないのよ」と、おそらくこんな場所に来るのは初めてだろう中年女性。NHKサンデースポーツでもトップで報じられ、久々の実力派名馬。こういう場合、マスコミはどんどん煽って構わない。その先でしぼんだら、それはその時のこと。歴史に残る名馬! と騷ぐ方が楽しい。
 歴史に残る名馬といえば、俺はディープインパクトの姿を見て思い浮かべるものがある。それは、大昔の、それこそサラブレッド三大始祖を描いたような、絵画の馬だ。筋肉はごつごつしておらず、柔らかみのある馬体。単にたてがみのスタイルが似ているだけかもしれないけれど、先祖がえりか、などと想像するのも楽しい。
 
 二着以下の馬について。インティライミ佐藤哲三らしい見事な勝負乗り。これこそ哲三の真骨頂。俺はダービーを考える場合ダービージョッキーを考える(今年は合理的にパスできた)が、哲三はダービージョッキーに相応しいと思う。その前に、この秋の菊花賞だってわからんかもしれない、というのは気が早すぎるか。シックスセンスはやはりこういうタイプの馬。シルバー、ブロンズ的に要注意。アドマイヤフジはなんとなくこのポジションぽい馬。よくぞシックスセンスを抜かないでいてくれた。五着マイネルレコルト。これは後藤の最後方待機策が奏功したか。レース前距離不安が囁かれていたけれど、血統的に長くても構わないような気もするが、どうだろう? まあ、そんなところか。先週の月曜日には興味の薄いメンバーと思っていたが、やはり多士済々、面白い連中じゃないか。果たして他世代との抗争に打ち勝っていけるか楽しみだ。