ワールドカップ最終予選

 眠さとの戦いだった。いつ試合が始まるのかわからなかった。俺はもう横になって危なかった。ただし開始が遅かったのが幸いした。少し目が覚めた隙に俺は濃いインスタント・コーヒーを飲んだ。俺は何とか目が覚めたのだった。俺はサッカーについてほとんど何も知らないといっていいが、知らないなりに思ったことを書く。まずは何か批判らしきものもあるらしいけれど、中田英寿というのはやはり大したものなのじゃないかと思った。さらに試合終了直後にも最後の最後に出てきた玉田に何か動きの反省というかそういうものを伝えていたのが印象に残る。そういえば交代は最後の最後だった。気象条件的にも有利であろうバーレーンが後半三十分になるとほとんど動かなくなってきたので、その時点でこちらも動きが鈍かったのだから、なにか交代しろよなどと眠くなりながらも思っていたのだった。勝ちペースなので下手に動かさなかったという専門的な判断なのかもしれない。専門的といえばワントップを張った柳沢の動きなのだけれど、ワントップだからそいつが点を取れという意味ではないというのは何となくわかるものの、もうちょっと積極的にゴールそのものを狙うような何かが欲しかった。おお、何かいっぱしのサッカーファン風。俺は柳沢と高原が髪型以外に何がどう違うのかもよくわからない。まあ、とにかく勝ててよかったのだ。俺のような者が明け方まで睡魔と戦って見るようなイベント。それが潰えたらつまらない。そういえば、試合中ずっと向こうの音楽かコーランかわからないが、それらしいメロディが流れていて、それも何か睡魔に忍び寄ってきたものだが、次は無観客試合だった。俺は「むかんきゃくじあい」とどうしても上手く言えない。いや、上手くどころか普通に発音できない。「むきゃんきゃく」とかになる。これが日本代表の思わぬ落とし穴にならなければいいが。