『あ・だ・る・と』高橋源一郎

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 こないだ人に貸したのが帰ってきた。俺が持っているのはハードカバーで、それも新刊で買ったんだっけ。その頃はまだ高橋源一郎の新刊は即買い、みたいな感じだったのだっけ、よく覚えていないや。覚えていないのはこの本の中身も一緒で、「なんかAV業界のマニアックなところの話だっけ」みたいな感じで。それで人に、というか女の人に貸して返ってきて、ついでに「私、なんかこの社会のそういうの、変だと思う」などと『ガープの世界』のガープの母親みたいなことを言い出すのでちょっと面食らってしまった。面食らったついでに読み返してみたら、なるほどなかなか面白い本だったのだな、と再確認した次第。最初に読んだ頃は、ここで取り上げられているようなポルノそのもの、あるいは犯罪の向こう側みたいな画像だってネットで見られるようになっていたから、大した関心も払わず、「女性誌読者にそこらへんを紹介してるのね」としか思わなかったんだけどな。いや、だいたいの部分はその通りなんだけど、終わり方がスパッと切れ味よくて、ここらあたりは覚えていてもよかったのにな、と思ったのだった。