遺灰ダイヤモンド

goldhead2005-06-30

http://www.lifegem.co.jp/

生物からダイヤモンドを作る場合、その抽出された炭素(カーボングラファイト)に含まれる窒素やヒ素の影響により黄色味がかった色になります。

 今朝、テレビ朝日のワイドショーを見ていて、遺灰ダイヤモンドのことを知った。娘が行方不明になり、生涯を掛けて探し続けた母親が居た。その後、娘さんは北朝鮮による拉致被害者の疑いもあると、特定失踪者にもなった。しかし、その母は娘に会うことなく九十九歳で亡くなった。そこで、失踪者のお姉さんが、母の遺灰をダイヤモンドにした、という話である。俺は拉致や失踪などよりも、「人が石になる」という想念に取り憑かれてしまい、遅刻する時間にもかかわらずにテレビを見続けた。ダイヤモンドになったその母は、琥珀をもっと明るくしたように輝いていた。
 「人が石になる」、あるいは「宝石になる」。メタモルフォシスの中でも、何かとても象徴的なもののように思われる。俺は小さな頃より石への偏愛があって、この遺灰ダイヤモンドには何か惹かれるものがある。人が滅んでも、石は残る。何だろう、それは。澁澤龍彦ならば上手く謎解きしてくれるだろうか。しかし、同じく石を愛する澁澤御大ならば、石と変身について古典を引用した上で「ところが現代では、遺灰を工場で加工してダイヤモンドにしてしまうのである。これも時勢というべきか、あまりぞっとしない話である」とか言うかもしれんけどね。