さて、帰るか

 今日はまだ十一時になっていないので、電車で帰ろう。夜歩くのは好きだが、やはり零時を回らないと面白くない。この時間だと石川町のあたりはまだ騷がしいから嫌だね。さすがに零時を回ると人が減る。二時、三時になると、もっと歩きやすい。全くの無人というわけでもないのがいい。昼間は歩きにくいから嫌いだ。俺もあなたもどなたもが、お日様の光にはっきりと分別されてしまう。夜は闇に紛れて俺もあなたもわかりません。原始の森で人類の祖先同士がばったり顔を合わせたら、いったいどうしたことだろう。ハロー、ワールド。