ついに靴を買った

 桜木町へ行ったついでに靴を見た。みなとみらい方面はさんざん見たので、こんどはこちら側だ。といっても、トポスに行っても発見はなかった。ついで、ぴおシティという中洲のような可哀想な商業ビルへ。他の目的であったダイソーでの買い物のあとに、二階にあるスポーツ用品店へ。
 どんな店なのか知らなかったが、奇妙な廃墟感いっぱいの建物の中にあって、違和感があるほど普通。ちゃんとしたチェーン店で、店内の雰囲気も明るく、お客さんも多い。ただ、そのお客さんというのが、部活してますって感じの日焼け学生や、ふくらはぎの盛り上がりが隠せない中年ランナーなど。古着アロハの胸ポケットに赤ペンさして、ダイソーの大きな袋をぶら下げた場外馬券売場帰りの俺は場違いだ。が、目的の靴はけっこうな種類があって、値段も安そう。ちゃんと種目別に並んでいて、俺の探すウォーキングというか、歩くのに疲れない、という軟弱なカテゴリなど存在しない。そうだ、俺はもう見栄え(色はちょっと落ち着いているが、形状に面白味があるのがいい。あまりハイテクハイテクしたのは避けたいが、シンプルすぎるのは嫌)などに拘らず、軽い、一日歩いていても疲れない、の二点に絞ったのだ。
 軽さを求めるならランニングシューズ。と、丁度そのあたりにセール品が積まれている。型落ち品だろうか、安売りされるナイキのエアダート3の横のエアダート2など、三千円を切っている。安い。しかもこれならば、日常履きに片足突っ込んでるタイプ(のはず)。これでいいかなぁ、と一瞬思う。しかし、ふと横にある白いランニングシューズを持ち上げてみて、その軽さに驚嘆した。エアズームカタナ。おもわず試し履きしてみる。底の磨り減ったコンバースを履いていたせいもあるが、エアのクッションに浮かれる。最初に試着したのはサイズはUSサイズの8。これで爪先もピッタシ。しかし、用心のために8.5を試そうとしたが無い。かわりに9を試したら、ちょっと余裕があってよさそうだ。値段は七千円を切るくらい。ええい、これでいいや、と購入。持ち運ぶ箱の軽さにも驚きで、家に帰って台所の秤で量ったら片足200gしかなかった。
 しかしまあ、白いランニングシューズ。家に帰ってあらためて思ったが、これに合う服装など持っていない。というか、取説の<エリートランナー>や<シリアスランナー>って何や? まあいい、バスケットやらんでもバッシュくらい履く。そういうものだ。でもなんだ、何かピーキーなものを買ってしまったのだろうか。底敷に人の顔(創業者の一人らしい)がプリントされていて、履くときに申し訳ないと思うのは俺だけだろか。ともかくもう、買ってしまったのだから仕方ない。走るか。